2016 Fiscal Year Research-status Report
シスプラチン腎症に対する温熱プレコンディショニングの効果
Project/Area Number |
15K01447
|
Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
岩下 佳弘 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (70623510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯山 準一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (00398299)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 全身温熱刺激 / マイクロアレイ / TRP channels / 酸化ストレス / 熱ショックタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにシスプラチン投与前の全身温熱刺激プレコンディショニングによってシスプラチン誘発性腎症が軽減できることを明らかにした。シスプラチン投与48時間(全身温熱刺激後54時間)における腎組織において、Caspase3の活性やBax発現の減少を伴っていることは確認できたものの、作用機序を示唆する経路や鍵タンパク質については検討できなかった。そこで、本年度は、全身温熱刺激実施後シスプラチン投与前の腎組織における遺伝子発現のプロファイリングを試みた。Agilent社SurePrint G3 Mouse GE マイクロアレイキット 8x60K v2を用いて、遺伝子発現の網羅的解析を実施したところ、全52145遺伝子のうち378遺伝子に発現増加、470遺伝子に発現減少が認められた。発現が増加した遺伝子には、Nrf2など酸化ストレスに関連した遺伝子、TRP channelを介した炎症制御系に関連した遺伝子、熱ショックタンパク質に関連した遺伝子であった。熱ショックタンパク質関連遺伝子においては、HSP70以外に、small heat-shock protein familyのメンバーであるAlpha-B-crystallinの発現亢進が認められた。 これらの結果から、TRP channelを上流とした腎耐性の向上が推察された。現在、マイクロアレイ解析によってプロファイルされた遺伝子群に関連したタンパク質発現をシスプラチン投与後、タイムコースで確認するための実験が進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本震災により、実験室の復旧に多くの時間を要したため、実験がストップしてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まず、全身温熱刺激プレコンディショニングによる腎組織での遺伝子発現の網羅的解析により、プロファイルされた遺伝子群に関連したタンパク質発現をタイムコース実験で確認するとともに、最も効果的な全身温熱刺激のタイミングを模索する。次に、網羅的解析によりTRP channelを介した抑制機序の可能性が推察されたことから、in vivo実験をベースにTRP channelを薬理学的に阻害させて、全身温熱プレコンディショニングの効果、および作用機序を検討する。
|
Causes of Carryover |
熊本震災により、備品等の破損や故障により使用できず、実験が予定より遅れたことが主な原因です。実験室が使えるようになったのが10月過ぎで、そこからサンプル確認や試薬等のチェックを優先に行っていましたので、実際は年末近くから再開できた状態です。そのため、解析依頼等が年度末になり、請求が年度明けになってしまったことも要因のひとつと思われます。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度末に解析依頼した請求に対する支払、およびプロファイルされた遺伝子群に関連したプライマーやタンパク質解析に必要な抗体等を購入していく予定である。
|
Research Products
(2 results)