2015 Fiscal Year Research-status Report
多職種連携とクライアント参加を促進する福祉用具選択支援ツールの開発
Project/Area Number |
15K01485
|
Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
近藤 知子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (90274084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛伸 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, その他 (40360680)
澤田 有希 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, その他 (40747995)
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, その他 (50571577)
竹嶋 理恵 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (80534130)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 福祉用具 / 多職種連携 / 選択支援ツール / 評価・選択モデル / 質・量的融合研究 / 補装具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多職種連携チームによる補装具費支給判定業務の評価項目・評価プロセス・評価の視点を同定し、福祉機器選択モデルを構築し、福祉用具選択支援ツールを開発することを目的とする。今年度は、更生相談所で行われた補装具支給判定業務の観察・インタビューに対し、1)支給判定業務のプロセスの同定、2)業務におけるチームおよび専門職の価値観の同定を目的に質的分析を行った。また、3)適合における多職種間の視点の違いを明確化するために行ったアンケート調査を分析した。さらに、4)介護支援専門員にインタビューを行った。 1)処方・適合業務は、「クライアント理解」を中心テーマとし、判定機関の特殊な機能と枠組みの中で、専門職が各々培った知識・技術を用い、クライエントの意思や理解を引き出しつつ暗黙的に連携し、最適な福祉用具を選択する過程であった。 2)チームの包括的視点は、「クライエントの生活の質を高める最適なツールを見出す」ことであり、生活の質の視点は、クライエントの未来にまで及んでいた。選択にあたっては「公的支給であること」が強く意識されていた。チームの視点は、大きく、申請の受け入れ、評価、判断、提供の4つの過程に別れ、各過程では異なる専門職が中心的役割を果たしていた。 3)①補装具費支給判定に関連する職種、②必要な情報、③連携方法に関するアンケート調査の結果は、これまでの適合時の質的な行動・発話分析から抽出された結果とよく一致していた。支給判定では、複数のチームメンバーが、心身機能・活動・環境因子・機器との適合に関する情報を、職種間で異なる役割を持ち、書式以外の方法で連携しつ業務を行っていた。 4)高齢者福祉用具選択に際し重要な役割を果たす介護支援専門員に対し、面接調査を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、福祉用具の評価・選択のモデル化に向け、熟練した専門職が連携して行った補装具支給判定業務を中心に分析をすすめた結果、多岐にわたる評価項目が同定されるとともに、多職種連携チームが、共通した目標をもちながら、各専門職独自の視点や役割をもって業務に携わっていることが明らかになった。さらに、福祉用具選択には、チームが置かれている機関の機能や業務の枠組みなどの前提条件が影響を与えていることが示唆された。需要が増す高齢者への福祉用具選択は、補装具支給判定とは異なる機関や業務枠組みの中で行われる。そこで、介護支援員専門員など、高齢者の福祉用具選択に際してのノウハウを持っていることが期待され、補装具支給判定には通常参加しない職種への面接調査も開始した。これにより、より多角的なモデルの構築が可能となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は、模擬的な福祉用具の適合作業のビデオ記録とインタビュデータから同定された評価項目、評価プロセス、職種による取得項目の差異と役割、情報収集の意図を基盤として、業務フローをモデル化する。また、構築したモデルを、量的なアンケート結果と照らし合わせ、モデルの妥当性を確認する。さらに、このモデルをより複雑な業務フローが想定される高齢者の福祉用具適合に展開することを試みる。介護保険制度において、高齢者福祉用具選択に重要な役割をもつ介護支援専門員などの職種へのインタビュー調査を引き続き行い、先に記した業務フローモデルに融合する。具体的には、半構造化インタビューを通して、用具選択における評価項目、評価プロセス、福祉用具選択に関わる価値観、多職種との連携方法などを抽出し、これまでに構築した業務フローを補強する。また、所属組織の運営形態や、個人のバックグラウンドが適合時の視点に与える影響も合わせて同定する。フローの融合にあたり矛盾点が生じた場合には、カテゴリの見直しを行い、より包括的なモデルを再構築し、定量モデルの開発につなげる。
|
Causes of Carryover |
今年度は、福祉機器選択モデルを構築するために、更生相談所で行われた補装具支給判定業務の観察・インタビュー、およびアンケート調査に対しての分析を主体として行ったため、面接対象者および研究協力者への謝金、データ入力に関わる人件費の使用が当初予算より少なかった。また、予定していた国際学会での発表に関わる旅費は、別資金使用したため計上していた予算に対し未使用が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、構築するモデルを補強するために高齢者福祉用具選択に重要な役割をもつ介護支援専門員などの職種へのインタビュー調査を重点的に行う予定であり、今年度の未使用額を、面接対象者および研究協力者への謝金、データ入力の人件費等にあてる。
|
Research Products
(4 results)