2015 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実を用いたウェアラブル指文字学習支援機器の開発
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15K01491
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
藤澤 義範 長野工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00342494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 祥一 長野工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10369978)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウェアラブルデバイス / 指文字 / 3Dコンテンツ / ヘッドマウントディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画はウェアラブルデバイスの選定とそのために必要な三次元の指文字コンテンツを制作することであり,概ね計画を達成することができた. ウェアラブルデバイスを使い,指文字ではないが既存のコンテンツでその性能を評価した.動作することは確認できたが,映像としてのクオリティが低く,我々が予定している指文字の学習には不向きであると判断した.そこで,ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)と小型PCを使い新たに評価を行い,問題なく動作することを確認した.さらに,HMDは解像度が高く,非常にクオリティの高い映像が期待でき,指文字の学習に適していると判断した. 指文字の三次元コンテンツについても10文字程度のサンプルコンテンツを作成した.コンテンツの制作方法としては,研究代表者が所有するモーションキャプチャで指の動作をキャプチャしてそれを三次元のモデリングツールでコンテンツ化する方法とモーションキャプチャを使わず,三次元のモデリングツール上で動作を与える方法の2種類で作成した. モーションキャプチャを使う利点としては,実際の指の動きに忠実であるため,指の動きに誤りがなく,実際の感覚に近い点である.しかし,動作が細かすぎて逆に動作が歪になることがわかった.そこで,ツール上で手の三次元モデルに動作を付ける方法も試した.自分の指の動きを見ながら動作を与えるので,制作に時間がかかってしまう.また,動きが不自然になる場合がある.しかし,単純な動きの場合はこの方法での制作が効率的であることもわかった.今後は,指文字にあわせて三次元コンテンツの作り方を変え,効率よくコンテンツ制作を行うようにする. さまざまな実験を行う中で,カメラで複数のマーカを認識して同時に複数の指文字コンテンツを拡張現実として表示できるようになった.これからの研究のためのベースを整えることができたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画は,ウェアラブルデバイスの選定とそのための指文字の三次元コンテンツの制作であった.ウェアラブルデバイスはいくつかのメーカから発売されているが,カメラやディスプレイのスペックに大差はなく,研究代表者が所有しているウェアラブルデバイスで評価を行った.制作した指文字コンテンツ1つをウェアラブルデバイスで実装して動作確認を行った.その結果,動くことは確認できたが,搭載されているメモリの容量やCPUの処理速度などにより多くのコンテンツを実装することが難しいことがわかった.また,投影される映像の解像度も低く,その映像を見ながら指文字の学習を行うことは難しいという結論に至った.ウェアラブルデバイスに関しては発展途上であるため,今後の高性能化を待たなければこれを使っての実現は難しいと考えられる. ウェアラブルデバイスの代替としてヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)と小型PCを使うことを検討した.HMDはウェアラブルデバイスと同様の眼鏡型のデバイスで,両手を自由に使うことができる.また,小型PCは,名刺程度のサイズで携帯することが可能である.小型PCの性能はウェアラブルデバイスよりも高く,HMDもその解像度はかなり高い.これらを組み合わせ指文字の三次元コンテンツの実装を行い.動きの検証を行った. 結果として,ウェアラブルデバイスでは出来なかった複数のコンテンツを実装でき,複数のマーカに対して複数の指文字を表示することが可能となった.また,映像のクオリティも非常に高く,指文字の学習に耐える性能を有しているとして,今後の研究では,HMDと小型PCの組み合わせを利用する予定である. 以上のように,ウェアラブルデバイスの性能向上を待つ状態となってしまったが,新たな方法で実現可能であることがわかり,概ね計画通り進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の成果を受け,ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)と小型PCを使い,当初の目的である指文字の学習支援機器の開発行う.平成28年度は,コンテンツの充実と操作性について検討を行うことを計画している. 現状は単に,マーカを認識して指文字コンテンツが目の前に現れる状態であるため,学習コンテンツらしく,整備する必要がある.具体的には,マーカを本のようにして,ページをめくり,マーカを認識すると表示される機能の実装を考えている.さらに,幾つかのボタンを用意してコンテンツの拡大と縮小,動作の開始と停止などの機能を付加することを考えている.複数のマーカを認識して複数の指文字を同時に表示できることを確認しているので,単に文字だけでなく単語用のコンテンツも制作したいと考えている. 平成29年度は,この学習支援機器とオリジナルの学習コンテンツを使い,学習効率がどのように変化するのかを評価したいと考えている.まず,障害の無い健常な人を対象として2次元の本を使い,一定期間でどの程度の指文字を習得できるかを測定する.次に同年代の別の人を対象として本学習支援機器を使い,同様の測定を行い,本機器の評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
ウェアラブルデバイスではそのスペックから本研究のデバイスとして適切ではないことがわかり,代替としてヘッドマウントディスプレイと小型PCで実現可能であることがわかった.そのため,ウェアラブルデバイスを複数台購入計画であったが,ヘッドマウントディスプレイを購入するほうがよいと考え,次年度に繰り越すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヘッドマウントディスプレイにも複数の種類がある.現在使用しているものと同等の性能のものを複数台購入して今後の検証のために利用する予定である.
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Research Products
(4 results)