2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K01499
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 郁博 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (30735163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 哲史 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (70748946)
東郷 史治 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (90455486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠 / 皮質-視床ループ / 神経モデル / 脳波 / 信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
前期までに本手法による皮質-視床フィードバック係数の脳波からの推定が覚醒から入眠までの遷移を15secの時間分解能でうまくトラックすることを確認した。今期はその方法を就寝中脳波の全体(約8時間)に適用しポリゾムノグラフィーより判定された睡眠ステージとの関係を調べた。その結果、就寝中入眠後の係数の変化は覚醒からの入眠の時のダイナミックな変化(減少)に比べると小さいが、睡眠が深くなるほど(睡眠ステージが1, 2, 3と変化するにつれて)減少していくこと、またREM(Rapid Eye Movement)睡眠においては睡眠ステージ1とほぼ等しい値になることが分かった。この結果に基づいて皮質-視床モデルに基づいた睡眠中覚醒の確率過程モデルを導出した。このモデルによって再現した睡眠中覚醒の生起パターンは実際観測されるものと酷似しており、入眠時の覚醒から睡眠への遷移だけでなく睡眠中の覚醒への遷移またはその睡眠への回帰が皮質-視床間の結合の揺らぎとして理解できることを示唆する。また脳波解析方法の進展として、アルゴリズムの改良によって皮質-視床フィードバック係数だけでなく、ループの伝達遅れ時間を同時に推定できるようになった(従来は特定の値を仮定していた)。以上の結果について2つの国際会議で発表し、論文化を進めているところである。さらに前年度の解析では、成人女性のみの脳波データに基づいて解析を行ったが、今期はさらに小児のデータについてても解析を行っている。また測定のサンプリング周波数を変えるなどして、本推定法の安定性の確認も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本原理の確認後ウェアラブル脳波計の試作を行い居眠り(覚醒-睡眠遷移)への実験的研究へと進む計画であったが、方針を変えて睡眠中の短時間覚醒のパターンに関する理論的な検討を先に行い、その成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
居眠り(覚醒-睡眠遷移)検出への本方法の実験的な適用に関しては、脳波だけでなく脈波やアクチグラフなど他の生体信号も用いてフレキシィブルな手法を検討していく。皮質-視床モデルは近年、睡眠だけでなくてんかん発作のメカニズム解明においても有効性が再確認されており、てんかん発作解析へ向けた本研究の拡張も行っていく。
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Causes of Carryover |
実験計画を延期したため人件費を使用しなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今期延期した実験を実施する際に人件費として使用する
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Research Products
(6 results)