2019 Fiscal Year Research-status Report
運動技術の確かな定着が児童の運動有能感を育み生きる力を高めるという仮説の実証研究
Project/Area Number |
15K01518
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋爪 和夫 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (80189472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山地 啓司 立正大学, 法学部, 教授 (50012571) [Withdrawn]
澤 聡美 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (80369488) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体育科教育 / 体力 / 運動有能感 / 逆上がり / 生活健康 / 縦断的解析 / 生きる力 / 体育学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、体育科で学習される運動技術の確かな定着が児童のセルフエフィカシーや運動有能感を育み生きる力を高めるという以下の仮説の実証研究である。平成31年度・令和元年度(2019)は本研究の最終年度である。2016年度から研究対象とした富山県K小学校の全児童の体格・体力,スポーツテスト,運動有能感,生活健康調査は実施できた。したがってこれらの項目は小学校の在籍4年間の縦断的データが取得できた. 本年度は,体力が学年の平均値以下(約50%)あるいは,平均値よりもマイナス1標準偏差以下の児童(約16%)が学年進行にともないどのように変動するかを解析した.その結果1年生で体力が平均値以下の児童約50%の内,2年生になっても平均値以下の児童は37%,3年生になると28%,4年生では22%であった.また,1年生で平均値‐1SD範囲内の児童は1年生で18.3%,2年生6.4%,3年生6.5%,4年生4.5%であった.運動有能感の傾向も体力と同様の低下,継続性を示した.体力と運動有能感の両方が平均値以下の継続性を示した割合は,1年生47%,2年生25%,3年生17%,4年生11%であった.本研究はこのような実態を明らかにすることと,この児童への運動技能の獲得を支援することが目的であった. 本研究の結果は日本体育学会体育科教育法分野で発表した.参加者から児童の運動ぎらいや体育ぎらいに関わるエビデンスとしての評価があった. しかしながら,本年度は大学生研究補助者を確保することができなかった.それで,最終年度の延長を申請して,許可を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は体力と運動有能感が恒常的に低い傾向を示す児童に対して、ひとつの運動でも確実にできるという自信を持つことが運動有能感の改善につながる という仮説の実証研究である。学年が進行しても,体力と運動有能感が継続して学年の平均値以下の児童は特定できた.しかしながら、抽出した児童に対する介入研究を行うための補助学生の確保が困難であった.また,小学校の受け入れ態勢も十分ではなかったことも実証研究としての介入研究が実施できなかった理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の延長年度である2020年度(令和2年度)は介入研究で直接的に児童の運動技術を獲得させることが運動有能感を向上させるという仮説を検証しながら、新たに、観察学習や学習支援を通してでも運動有能感は向上するという新たな仮説を検証する。 また,最終年度としてこれまでのデータのまとめの解析と論文発表の準備を行う.
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Causes of Carryover |
本研究は最終年度(令和元年度)であったが,補助事業期間延長が承認されて令和2年度も研究が継続される.令和2年度には補助学生の確保が可能であり,小学校の体育授業で児童への運動支援の介入効果を実証するための実証研究を行う予定である.5年間の縦断的データを得ることができる可能性がある。これまでの研究成果の学会発表,論文発表のための必要な経費に使用する計画である.
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