2019 Fiscal Year Research-status Report
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15K01525
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 牧子 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (30290092)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幼小接続 / 身体表現 / 森のようちえん / 学童保育所 / 主体的学び |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、スペイン、マドリッドにあるUniversidad Europea de Madridにて開催された2019 IAPESGW Regional Congress に参加し、研究発表を行った。また、ドイツでの現地調査を実施し、新たな知見を得ることができた。 口頭発表は7月12日「Implementing creative movement activities at a facility for children with severe motor and intellectual disabilities」と題し、重度の障がいを持つ親子への身体表現遊びの効果についてデータを解析し、結果を発表した。障がいをもつ子どもの就学前教育から、いかに就学へと繋げるか、活発な質疑応答の中、示唆に富む実践的活動であるとの評価を得た。 さらに、7月14日~7月16日アウグスブルグにある2か所の森のようちえんを視察し、幼小連携カリキュラムを見通した幼児教育の在り方について検討した。森や自然の中で、子どもたちを育む森のようちえんは、多様な形態の園が活動している。日本では、幼小接続期にこうした園を卒園した子どもは、小学校の教育方法になじみにくいという指摘を受けることもある。しかし、視察した2か所の森のようちえんの子どもたちは、小学校に入学後も集中力があり、主体的で優秀であるとの評価を受けているということであった。特に、湖畔の園は近隣にある学童保育施設と連携し、その場所で延長保育の子どもたちは昼食を取り、午睡もしていた。また、年長児は午前中もこの場所に移動し、就学準備に取り組んでいた。このように接続の場を設定し、就学前後の子どもたちを繋げる取組は興味深いシステムである。ドイツでの森のようちえんの研究にも着手でき、多様な視点から幼小連携の接続期教育を具体的に検討するデータを得た年となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画にあったドイツでの調査研究にも着手することができ、新たな知見を得ることができた。また、これまでの研究をまとめ、国際会議にて口頭発表することもでき、進展したと考えられる。また、これまでの研究で得られた知見について、紀要論文にまとめ、公表もした。さらに、大学の授業だけではなく、幼稚園教諭の研究会において、ドイツでの森のようちえんでの調査を基に、いかに主体的な保育を行うことにより、自分で考え、行動する子どもを育むのか、また命を大切にする教育、自然環境を守ろうとする意志をいかに育むのか、保育現場の教諭へ直接、講習を行った。 一方、ドイツでの学童保育所を併用する方法での幼小連携についての取り組みは、その内容や運営方法など、さらにインタビュー調査などを交え、深めていくべきであると考える。日本においても、認定こども園において、学童保育に取り組んでいる園もある。ドイツでの取り組み内容について援用すべき点も多々あると考えられる。検討材料として、より詳細な調査が求められる。 また、これまでの調査を実施してきたイタリアの事例とドイツの事例の比較検討はまだ行えていない。さらに得られた知見を俯瞰し、日本における身体表現・ダンス教育における幼小接続について、検討を深める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく2点ある。まず第1点は、ドイツの湖畔にある森のようちえんの主催者へのインタビュー調査である。これにより、学童保育所との連携の方策や運営の方法、内容や幼小接続について、詳細な内容を明らかにする。6月に来日の予定であり、日本の森のようちえんの関係者との研究会、保育リカレント講座での講演なども予定していたが、新型コロナウィルス対策により、来日ができなくなり、対応に苦慮しているところである。 また、日本保育学会で、口頭発表する予定であったが、開催中止となり、発表の機会を失った。そこで、論文にまとめ、投稿発表していく予定である。 第2点は、これまでのイタリア、ドイツでの研究成果を比較検討し、日本への援用に向け、課題を考察し、論文としてまとめ、公表することである。研究の集大成をどのような形に整え、公表していくか、検討し、推進していくこととする。
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Causes of Carryover |
視察したドイツの森のようちえんの園長が来日予定であることが判明したため、インタビュー調査を予定し、1年研究期間の延長を申し出て、許諾をいただき、インタビューの謝金等に充てる予定でいた。しかしながら、新型コロナウィルスにより、来日が不可能となり、Webでのインタビューが可能か検討中である。 また、科研費の最終年度であり、これまでの一連の研究成果を総括し、報告書としてまとめ、発刊するにあたり、その印刷代に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)