2016 Fiscal Year Research-status Report
小学校体育授業における学習者の素朴概念を修正するための学習指導方略の検討
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15K01530
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
荻原 朋子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (50365566)
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Project Period (FY) |
2016-01-27 – 2019-03-31
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Keywords | 素朴概念 / 体育授業 / 仲間学習 / オーバーハンドパス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで体育授業における素朴概念の研究は,児童・生徒が特定の運動技能の素朴概念を所持しており,それが学習の阻害となっていることが証明されている.この素朴概念は,学習者が経験的に身につけている知識であり,誤った素朴概念は学習の阻害要因となるため,その修正のための方法として,仲間学習(Peer teaching)という学習指導方略として有効であることが報告されている.しかし,その有効性は中学生を対象に検証したものが多く,小学生での実践は少ない.そのため,本研究では,小学生の素朴概念を修正する学習指導方略であるとされる仲間学習を用いて素朴概念の修正可能性について実証的に明らかにすることを目的とした. 上記目的に照らし,平成28年度は①これまでの小学校体育授業におけるオーバーハンドポパスの素朴概念に関する研究成果の発表,②小学校高学年児童における仲間学習を適用した素朴概念を修正するための学習指導方略に関する実態調査を行った. ①平成28年10月29~30日に和歌山大学で行われた第36回日本スポーツ教育学会において,「小学校高学年児童が持つ素朴概念の変容可能性とパフォーマンスに関する検討-オーバーハンドパス技能に着目して-」の題目で口頭発表を行った. ②平成29年1月から2月にかけて,素朴概念を修正するための仲間学習を適用した10時間のネット型ゲーム単元の授業を実施し,児童のオーバーハンドパスに関する素朴概念とパフォーマンスがどのように変化するのかを検証した.調査対象者は、千葉県M小学校5,6年生(14名)であった.申請者が開発した小学生用のオーバーハンドパスに関する素朴概念調査票を用いて単元前後に調査を実施した.オーバーハンドパスについて,技能の定着度の観点から行った.結果については,現在分析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,小学校高学年児童における仲間学習を適用した素朴概念の修正を試みた.授業レベルでの素朴概念の変容可能性の乏しさは,授業の方法論に起因しているとも考えられる.そのため,素朴概念の変容を促すための授業方法論を工夫した検証授業の積み重ねが必要であることから,仲間学習を適用した単元における児童の教え合いの内容を明らかにするため,児童にマイクを付け,どのような言語活動が行われているかを検証した.その結果については,現在分析中であり,今年度の学会で発表予定である. 1年目において,検証授業を1単元実施できたことにより,次の課題が明確になった.検証授業の分析を進める中で,児童の素朴概念やパフォーマンスを検証し,素朴概念を修正するための学習指導方略の課題を抽出することが可能になると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,これまでに実施した検証授業の分析を進めるために,映像分析ソフト及びPCを購入し,映像の分析を進める.素朴概念の修正のためには,様々な要因が関わっていると考えられる.それらを学習指導方略(仲間学習)の適用可能性と限界を探ることで,改めて検証してく必要がある.また,映像分析と平行して,素朴概念の修正を目的とした仲間学習に関しての検証授業の積み重ねていくことが必要である.素朴概念の修正を促すための授業方法論などについて明らかにしていくことが今年度の課題となる.
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