2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01535
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
弓削田 綾乃 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 招聘研究員 (90432038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 身体表現 / 地域社会 / 地域活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「身体表現と地域社会との連携」を大きなテーマとするものである。わが国では、地域特性にあわせた多様な地域活動が展開され、一人一人の豊かな生活に貢献している。その一方で、身体表現の共創的資質は、多様な人が集う地域活動の場に活用することで、個人と地域社会とを相互に成熟させる教育力を有すると考えられる。この見地から、「地域での創造的身体表現活動は、活動者と地域社会とのつながりを育む」という仮説を立て、実践と分析・検討を重ねて検証し、活動モデルの構築と発信を目指す。対象とするのは、関東地方のC県M市での身体表現を中心とした活動である。地域特性の調査および参加者へのヒアリング等から明らかになった結果をまとめると、以下のようになる。 1.当該地域の特性:NPO法人の実績や子育て支援の外部評価などから、住民主体の地域活動、特に子育て世代への支援活動が活発であると考える。しかし多様な人たちによる共創的な身体表現を主とした活動の前例はない。 2.小規模な身体表現ワークショップの実践と分析(C県M市):参加者10人程度の身体表現ワークショップを2015年9月から毎月1回、計5回実施した。その結果、活動者において、親子を基点とした人間関係、ならびに活動への主体的・能動的意識が培われたことを指摘した。そして身体表現の諸要素が、社会での人と人との関係づくりを円滑に進めるためのデバイスになりうると考察した。 以上のように当該年度は、身体表現活動と地域社会のそれぞれの特性を抽出し、両者の連携の可能性を検証した。しかし具体的な連携の実態や、地域社会に対する活動者の意識等については検証に至らず、引き続き行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小規模な身体表現ワークショップの実施は、2015年9月以降、毎月1回おこなった。当初の計画では、創造的活動とともに当該地域の伝承舞踊を表現活動に組み込む予定だったが、音楽演奏を専門とする研究協力者ならびに参加者らとの協議の結果、音楽リズムを主とした表現活動を継続的に試行することとした。これは、活動内容に一貫性をもたせるとともに、活動の定着を第一の目標としたからである。 また、研究代表者の個人的事情により、長期出張が困難な状況であったため、地域活動の視察という課題を遂行できなかった。 なお、現状調査およびワークショップの分析については、2015年度中に実施し、学会において口頭発表し、論文を投稿した(現在審査中)。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を受けて、次年度は、地域活動としての身体表現ワークショップの内容の精査と拡大を目指す。すなわち、特有の伝承舞踊や民俗資料等を活用した創造的身体表現を展開し、地域社会への意識にどのように影響するかを検討し、地域文化に根差した身体表現を試みる。そして、市内の親子イベントや施設等でのワークショップ開催へ活動の場を拡げる。以上の実践結果を連携研究者・研究協力者と協同で検証し、地域社会とのつながりに関する特性を明らかにする。 また、地域活動として身体表現を実践している活動を視察するという課題を遂行する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の個人的事情により、長期出張が困難な状況となり、複数の東北地域の地域活動を視察する計画を遂行できなかった。また、機器類の設置場所の状況が不十分であったため、大型機器類の購入を見送ったことも、助成金の繰越金が発生した理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
身体表現ワークショップ実施関連、参考図書、アンケート謝金、学会発表等の経費については、当初の計画通りに使用する。これらに加えて、前年度に遂行できなかった実地調査ならびに分析機器購入の経費として、前年度繰越金を使用する。
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