2015 Fiscal Year Research-status Report
地域スポーツクラブの教材化ー体罰の克服に向けたスポーツ教育学的アプローチー
Project/Area Number |
15K01546
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
神谷 拓 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70460467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動部活動 / 地域スポーツクラブ / 生活指導 / 教育課程 / 部活動 / 教科外活動 / スポーツ教育学 / 体育経営管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学校体育(体育授業、教育課程内のクラブ、体育行事、運動部活動)の各場面において、地域スポーツクラブで求められる「自治内容」が経験できる教材を考案し、教育内容と指導方法の両面から、体罰克服のアプローチを示すことである。 筆者はこれまでに、教育現場で取り組まれた運動部活動の実践分析や、自身の実践研究を通して、運動部活動と地域スポーツ活動を関連づける教育内容や指導方法の研究に取り組んできた。具体的には、練習・試合、組織・集団、場・環境の観点から「自治内容」を示し、それを子どもに委託していくことで、主体的にスポーツに取り組む力が身につくことを指摘した。 本年度は、このような研究成果と、体罰克服に向けた運動部活動の指導方法を関連づける作業に取り組んだ。まず、「結社」という観点や、スポーツやクラブの語源をふまえて、運動部活動において「自治」が不可欠であることを確認した。その上で、教師の専門性をふまえて、運動部活動の目標論、教育内容論、指導方法論、実践論・評価論の観点から指導の原理や方法を整理し、このような体系的な観点に基づく指導こそが、体罰克服に向けたアプローチになり得ることを解説した。さらに、このような筆者の研究と、戦後初期の生活単元・生活体育の実践を関連づけて、今後は、体育授業における「自治内容」の指導が課題になりうるという、新たな研究仮説を示した。その成果は、2016年3月に刊行した、『生徒が自分たちで強くなる部活動指導 「体罰」「強制」に頼らない新しい部活づくり』(明治図書)においてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで取り組んできた「自治内容」に関わる研究成果と、体罰克服に向けた運動部活動の指導方法を関連づける作業に取り組み、文献として刊行できた(『生徒が自分たちで強くなる部活動指導 「体罰」「強制」に頼らない新しい部活づくり』明治図書、2016年3月)。またその中で、体育授業において地域スポーツクラブで求められる「自治内容」を指導する実践を「クラブ単元」と命名し、新たな実践課題を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、体育授業の中で扱うことのできる「自治内容」について検討しており、28年度中にこれを「クラブ単元」として教材化し、実践研究へと移行したい。実践のフィールドは、宮城教育大学附属中学校を予定している。また、同時進行で、体育行事についてもフィールドワークを行い、これまでの「自治内容」研究との接点を見出していきたい。調査のフィールドは、神戸大学附属特別支援学校を予定している。さらに、平成28年度中に「自治内容」研究をすすめるための資料も収集するが、その分析は平成29年度に行いたい。
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Causes of Carryover |
購入予定であった資料が、当初の見積もりよりも安く購入することができた。また、次年度以降の授業分析に必要な備品購入費、及び、「自治内容」の研究を進めるために必要な資料購入費が、当初の予定よりも増額する見込みであるため、繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、今年度の残金を加えて、授業分析に必要な備品を整備すると共に、今年度、購入することができなかった資料(雑誌のバンクナンバー)の購入費用に充てたい。そのことで、「クラブ単元」の授業研究を進めると同時に、「自治内容」研究を深化させる。
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Research Products
(1 results)