2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation in linkage model between energy supply system and motor skill during long distance running
Project/Area Number |
15K01554
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 健 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (50092739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ランニングスキルの変容 / 適応制御 / 3×3システム |
Outline of Annual Research Achievements |
長距離ランニング中の疾走動作の変容はよく知られている。通常この変容は、疲労の進行に関連して発現するものと考えられている。しかし山崎(2011,2014,2015)は、これらは、運動の進捗に伴うエネルギー供給系の減少(変容)に対応してランニング速度を維持するためにランニングスキルを変容させる一種の適応制御ではないかとの視点から検討を行ってきた。 運動を実現するためには、筋の3種類の筋線維と、クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系からなる3種類のエネルギー供給系が「3×3システム」として機能しながら運動を実現しているものと考えられ、山崎は、動作にかかわる拮抗筋群がいわば「マルチ・レイアシステム」としてランニングスキルを支えている仮説を検討してきた。 本研究では、新たなモデルとして、10回反復される1000mペース走を検討した。1000mペース走は最高速度でのトライアルと異なり、設定タイムを維持して複数回反復することが課題となる。この点で、エネルギー供給系の変容に応じて疾走速度を維持するためにランニングスキルを変容させている可能性が考えられる。 実際のランニングでは、反復回数が増すにつれて、疾走速度とピッチとの相関係数が高くなり、前回の科学研究費での研究(2015)と同様の傾向がみられた。また、この傾向は、反復される疾走セットの増加に応じて単純に強まるのではなく、同一タイムで疾走しているにも関わらずセット毎に相関係数は変容していた。これは、個人間でも個人内でも同様の傾向がみられた。 本研究での心拍数は漸増傾向を続け、血中乳酸値も最初から6~8ミリモルを越え、最後は18ミリモルにまで上昇する例もあり、またセットに応じで増減する傾向も見られ、特定の傾向は観察されなかった。今後は、運動強度のやや低い2000mペース走等での検討が必要なものと考えられる。
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