2017 Fiscal Year Research-status Report
青少年スポーツ活動における保護者の問題行為の発生機序と対処過程
Project/Area Number |
15K01573
|
Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
渋倉 崇行 桐蔭横浜大学, スポーツ科学研究科, 准教授(移行) (30288253)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 青少年スポーツ / 保護者 / 問題行為 / 発生機序 / 対処過程 / トラブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,①保護者の問題行為の発生機序と効果的な対処方法を理論的,実践的に検討することを通して,②保護者の問題行為への効果的な対処プログラムを開発することであった.平成29年度は,保護者の問題行為の尺度化と保護者の問題行為と指導者の心理的ストレスとの関連性の検討を行った.具体的には,以下の3つの調査が行われた. 調査1では,保護者の問題行為を表す 30 項目に対して探索的因子分析を行い,保護者の問題行為尺度の作成を行った.調査対象者は,保護者 94 名,スポーツ指導者 109 名の合計 203 名であった.因子分析の結果,以下の3因子が抽出された.第一因子は「不平不満」,第二因子は「暴力的言動」,第三因子は「現場介入」であった.これら 3 因子を下位尺度とする保護者の問題行為尺度が作られた.調査2では,保護者の問題行為尺度に対し確認的因子分析を行い,構成概念妥当性の検討を行った.調査対象者は,保護者 51 名,指導者 119 名の合計 170 名であった.その結果,モデル適合度指標は,GFI=.923,AGFI=.856,CFI=.971,RMSEA=.097 を示した.これらの各指標を総合的に判断したところ,一定の適合性が認められると考えられた.また,それぞれの潜在変数から観測変数へのパス係数はいずれも十分な値であった.このように,保護者の問題行為尺度の構成概念妥当性が検討された.調査3では,保護者の問題行為と指導者の心理的ストレス反応の関連性を検討した.調査対象者は指導者 182 名であった.重回帰分析を行った結果,保護者の問題行為と指導者のストレス反応の間には有意な正の影響が示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定された計画に沿っておおむね研究が進められている.平成29年度の最大の目標は,平成30年度に実施予定の保護者の問題行為への効果的対処プログラムの開発に向けた理論的根拠を得ることであった.その目標は十分に達成された.ただし,「保護者の問題行為の発生機序と対処過程モデル」を構築するまでには追加の調査が必要である.これは平成30年度調査の中で実施される.
|
Strategy for Future Research Activity |
「保護者の問題行為の発生機序と対処過程モデル」に依拠した,保護者の問題行為に対する建設的な問題解決に向けた介入プログラムの作成,実施,評価を行う.①平成29年度研究で構築された理論モデルに基づき,保護者の問題行為に対する効果的な対処方法を,予防と対応の両側面から検討する.この調査結果に基づいて,建設的な問題解決に向けた介入プログラムを作成する.②介入プログラムを5つ程度の団体(小・中・高校年代の地域クラブや部活動)に対して実施する.③プログラムの効果を介入前,中,後の複数回における測定結果に基づいて検証する.また,比較のための対照群を設ける.また,最終年度である今年は4年間にわたる本研究の結果をまとめて総括する.
|
Causes of Carryover |
(理由) データ入力,集計のための人件費・謝金等の支出が不要となり,行われなかった. (使用計画) 平成30年度は介入研究が行われるので,その際に人件費・謝金として使用する予定である.
|
Research Products
(2 results)