2016 Fiscal Year Research-status Report
人の動作特性を考慮した2次元衝撃試験法によるスポーツサーフェス緩衝性評価法の開発
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15K01575
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
湯川 治敏 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (40278221)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スポーツサーフェス / 2次元衝撃試験 / 緩衝性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスポーツサーフェスの緩衝性能評価法として,従来の鉛直方向における作用時間の短い衝撃(約10msec)に対する緩衝性だけで無く,水平方向を加味した2次元衝撃,さらには作用時間の長い衝撃(約300msec)についても考慮した緩衝性能評価法の検討を行う.従来の衝撃試験による緩衝性能評価法では鉛直方向における作用時間の短い衝撃の減衰率によって評価していたが,この方法では人間の動作特性である斜め方向の衝撃やサーフェスとの接触期間全般にわたるような比較的長い作用時間を持つ衝撃力の緩衝性を評価していない.そこで,これまでに開発した2次元衝撃試験と新たに開発する作用時間の長い衝撃発生装置を用いて鉛直方向だけでなく水平方向も含めたモデル化を行い,様々な衝撃様式に対する緩衝性能を検討する方法を提案することを目的としている. これまでに開発した2次元衝撃試験器は,加速度,衝撃力を2次元で計測可能なセンサユニット上に重錘を落下させることによって様々な角度と大きさの異なる衝撃力に対する緩衝性を評価する為に用いてきたが鉛直方向と同様に水平方向も含めたモデル化を行うためにはより精度の高い測定が必要であると考えられるため,センサユニットの構造変更および市販センサへの転換を実施した.この改良により,より強度の高いセンサユニットとなり測定精度も高くはなったが,センサユニットが大型化してしまい,それに伴う荷重の不均衡が生じてしまう結果となった.このため本年度はセンサユニットの改良に多大な時間を消費することとなり,従来の計画である様々な2次元衝撃試験の実施と2次元モデルの検討までには至らなかった.しかしながら,落下高の調整機構は完成し,レーザー変位計を用いた精度の高い落下高を設定可能となった.更に比較的長い衝撃作用時間を発生させることが出来る鉛直方向の衝撃試験器に関しても精度の高い落下高調整が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(平成27年度)における主な研究内容は2次元衝撃試験器の改良であり,2年目の今年度は改良した2次元衝撃試験装置を用いて様々な角度,衝撃力における衝撃試験を実施する予定であった.これまでの2次元衝撃試験では衝撃試験器のセンサユニット上に単純な重錘を落下させ,計測された2次元衝撃力および2次元変位データを用いて衝撃力の最大値がどれほど低下するかを指標とする衝撃減衰率(ForceReduction)や初期角度,衝撃力による最大変位の変化を見ることによって緩衝性を評価してきた.しかしながらより多様な衝撃に対する緩衝性を評価するためにはモデル化を行うことが必要で有り,その為にはより精度の高いデータ収集が必要である.このため鉛直方向の衝撃力を2次元方向に変換するためのリンク機構を強化し,更に市販のセンサを利用することにより精度の高い測定が可能となった.しかしながら,強い強度および高い精度の測定を実現するためにセンサユニットが大型化してしまい,実際の測定をしてみると荷重の不均衡の問題が生じてしまった.従って,本来研究2年目には様々な衝撃試験を実施する予定であったが,センサユニットの改良が終わっておらず,更にセンサユニットの改良を行ってきた.但し,落下高調整装置を改良することにより,正確な落下高が指定可能になったこと.更に人間のランニングに於ける着地衝撃全体を模した作用時間の長い衝撃力を発生させる装置についても落下高の調整装置が完成している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では1年目に新たな衝撃試験装置と衝撃作用時間の長い衝撃作用時間を発生可能な落下重錘を製作し,2年目には様々な条件におけるデータを取得し,2次元モデルの構築を行う予定であった.1年目に高強度,高精度のセンサユニットの作成が終了したものの,それを用いた実際の2次元衝撃試験を実施したところ,センサユニットの大型化の為に荷重が不均衡になるという問題点が明らかとなった.そこで研究2年目は更にセンサユニットの改良を行い,安定した測定が可能となるセンサユニットの改良を継続した.但し,2次元衝撃試験および比較的長い衝撃作用時間を生じさせる鉛直方向の衝撃試験における落下高の微調整機構は完成した.最終年度の29年度は可能な限り初期のうちにセンサユニットの改良を終え,様々な角度,衝撃力の条件を変えた衝撃試験を実施し,最終的な目的である2次元モデルの構築を行う.
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Causes of Carryover |
2次元衝撃試験器の改良を行い,これまでよりも高強度,高精度の測定が可能になったが,センサユニットの大型化によりサーフェス面に与える荷重の不均衡が生じるようになってしまった.これを解決するためのさらなる改良を実施することに専念していたため,予定していた海外での学会発表が出来なくなり,その分の旅費が未使用となってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度当初はセンサユニットの改良を完成させ,種々の衝撃角度,衝撃力の組み合わせをスポーツサーフェスに与え,その実験結果から2次元のモデル化まで進める予定である.その成果発表の場として海外での学会発表を予定しているが,研究を推進するに当たり,これまで利用していたコンピュータが性能的に貧弱になってきたため,新たなコンピュータの購入が必要となる可能性がある.
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