2019 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ組織の支援をめぐる諸様相と社会システムの形成・再編成・進化プロセスの解明
Project/Area Number |
15K01576
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特定非営利活動法人 / 支援 / 組織社会化 / 互恵性 / プラットフォーム / ノットワーキング / 創発 / 蓋然性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域住民による非営利活動及び組織化の過程とその後の組織変容に着目し、とりわけ、市民が参加する活動の組織化とその後の組織運営における「支援」の在り方に焦点を当てている。 「支援」という言葉に対する理解は、曖昧であり、この言葉に対する認識や受け止め方は、支援者と被支援者とにおいて、微妙に齟齬が生じている。市民組織における構成員の中には、「自律的でありたい」という認識が抱かれる一方で、「すがれるものにはすがりたい」という行政に対する依存的な態度も抱かれている。また行政をはじめとした支援サイドは、助成事業を筆頭に、どのような「手の差し伸べ方」が支援となるのか、ということの理解が十分に進んでいないことが定性的なリサーチなどから見え始めている。支援と自律を考える上で鍵と握ると思われる地域内の住民や組織が「つながる」という行為に関しては、互いの存在や個人、もしくは組織の基本的な属性(例えば、組織のミッションや組織が有する資源、また活動の特徴など)を認識し合い、情報交換できるような関係にならなければ、個人や組織間における相互作用が生まれないと思われる。そして、そのような人の認識や行為の機微が支援を考える上での前提となる「つながる」ということを実感できないという認識を導いているものと思われる。 しかしながら、今年度については、本務に忙殺され、研究にエフォートを割くことがほとんどできなかった。そのため、貴重な研究費を無駄にしないためにも研究期間の延長を申し出た。 市民活動の内実やその組織過程を探る研究は、組織成員との信頼関係が重要であるため、フィールドに足繁く通い、慎重にデータ収集に努める必要がある。次年度、丁寧なリサーチを進めながら、残された研究費を有効に活用するとともに、確実な研究成果も上げるように努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
言い訳にならないものの、本務校の役職を拝命したため、そちらの業務に忙殺され、ほとんど、研究にエフォートを割くことができなかった。貴重な研究費を浪費することなく、確実な研究成果を得るため、研究期間の延長を申し出た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を推進するフィールドへと足繁く赴くことが難しい状況にある。本研究で掲げる研究課題は、丁寧なフィールドリサーチが根幹となるため、校務とのバランスを踏まえて、研究費の一部を人件費に充てるなど工夫して、研究課題が遂行できるような手立てを考えたい。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大という現下の状況に鑑みれば、フィールドに足繁く通うことも現状では厳しいことを踏まえると、さらなる研究期間の延長を認めてもらえないものかと考える。
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Causes of Carryover |
言い訳にならないものの、本務校の役職を拝命し、研究にエフォートがほとんど割けず、予定していたフィールドリサーチなどがほとんど実施することができなかった。そのため、旅費などに計上していた経費を執行することができなかった。フィールドリサーチは、信頼関係に基づき、進めなければならないものの、研究の進捗状況を踏まえ、トレーニングした大学院生を雇用する人件費、またそのための旅費に経費を割いて、研究成果を上げる工夫をしたい。その一方で、新型コロナウイルス感染拡大における外出自粛要請や、フィールドリサーチ先の状況を勘案し、適切なデータ収集や出張予定が編成できるのか不安も残る。
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