2021 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ組織の支援をめぐる諸様相と社会システムの形成・再編成・進化プロセスの解明
Project/Area Number |
15K01576
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 支援 / 非営利組織 / 目標の魅力 / 援助要請スタイル / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、支援される側の内実を明らかにするために、総合型クラブやスポーツNPOといった非営利組織の特性を把握した上で、スポーツ組織への支援をめぐる様相を捉える。具体的には、支援のされる側の被支援者を主体として捉え、支援の考え方から支援がもたらす成果に至るまでの一連のプロセスに着目している。 本年度もコロナ禍によって、当初計画していたフィールドリサーチがほとんどできなかったが、行政施策として進められる「住民主体の通いの場」に着目し、リサーチを進めた。住民と行政との関係性を踏まえながら、場の立ち上げにかかわる住民の心理的・行動的な内実と、場の立ち上げを促進・阻害する要因を明らかにした。住民が主体的に通いの場を運営している2つの地方自治体を対象に集合法による質問紙調査を実施し、122名の有効標本を得た。住民の主体性の要因を検討するために,目標の魅力及び援助要請スタイルが目標コミットメントに与える影響について検討した結果、目標の魅力の下位因子である「人とのつながり」「社会参加」「生活の改善」「地域貢献」において、目標コミットメントに対する主効果が確認された。ただ、活動を進める上での援助要請スタイルに関して、「自律型」「過剰型」「回避型」のいずれにおいても調整効果は見られなかった。 行政施策を推進する上で、住民の主体性をどのように発揮させるか、またその主体性を阻害する要因がどのようなものかを捉えようとした点において、行政主導から住民主導に転換し、施策を推進する上で、今回のリサーチから有益な基礎資料が得られたものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の根幹は、フィールドリサーチにあるため、想定していたリサーチが進められていないことが研究を遅延させている最大の理由と考えている。しかしながら、一定の研究成果を残すために、調査対象を変更し、研究目的に沿うようなリサーチを、今後、積極的に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究目的にできる限り沿うようにしながら、調査対象者を変更し、コロナ禍で十分実施できていないフィールドリサーチを進め、定量的及び定性的調査の2つのリサーチを進めて、研究成果を上げたい。データの収集に可能な限り時間を割くようにするとともに、本来、研究成果に基づき、非営利組織の支援を巡る問題解決や主体的活動の啓発を兼ねたワークショップの開催を予定していたが、コロナ禍が収束していないことも踏まえて、そちらに労力を割くよりも、データの収集と別の方法によって、研究成果の公表を進めるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって、研究の根幹を握るフィールドリサーチがほとんど進められず、旅費や人件費などを支出するに至らなかったため。
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Research Products
(2 results)