2015 Fiscal Year Research-status Report
野球投手の身体における深層筋と浅層筋の形態的特性と投球パフォーマンスの関係
Project/Area Number |
15K01581
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
長谷川 伸 九州共立大学, スポーツ科学部, 准教授 (70350444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船津 京太郎 九州共立大学, スポーツ科学部, 教授 (10259658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 深層筋 / 浅層筋 / 超音波法 / 野球 / 投手 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、野球投手の身体各部の筋厚を浅層筋と深層筋に分けて分析し、①一般成人との比較から浅層筋が発達しやすく、相対的に深層筋/浅層筋比率が低下しやすい身体部位を明らかにすること、②発育期における横断的研究から深層筋/浅層筋比率の低下過程を明らかにすること、③高い投球パフォーマンスを示す投手にみられる身体各部の深層筋/浅層筋比率の特徴を明らかにすることである。 研究期間の初年度(2015年)は上記①について野球投手群(n=15)、コントロール群(n=15)を対象に身体4部位(上腕前部、側腹部、大腿前部、下腿後部)における筋厚をBモード超音波法により計測し、各群における投球側と非投球側(利き腕側と非利き腕側)の比較を行った。各部位における浅層筋と深層筋は上腕部では上腕二頭筋と上腕筋、側腹部では外腹斜筋、内腹斜筋と腹横筋、大腿前部では大腿直筋と中間広筋、下腿後部では腓腹筋とヒラメ筋とした。 その結果、野球投手の身体部位別の筋厚の比較では、側腹部、大腿前部において非投球側が有意に高い値を示し、筋別では内腹斜筋、中間広筋が非投球側において高い値を示した。一方、コントロール群では部位別の筋厚、筋別の筋厚のいずれにおいても利き腕側と非利き腕側の間に差は見られなかった。また、浅層筋に対する深層筋の筋厚を深層筋比率として比較したところ、コントロール群では利き腕側と非利き腕側に深層筋比率の差は見られなかったが、野球投手では大腿前部において非投球側の深層筋比率が投球側に対して高い値を示した。これらの知見より、野球投手では踏込み脚側において深層筋の発達による深層筋比率の変化が生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書では身体10部位(深層筋10、浅層筋12)を対象としていたが、既発表の論文、学会発表では身体4部位(深層筋4、浅層筋4)が対象となっている。しかし、他の6部位についても既に撮像方法の決定がなされ、野球投手20名、コントロール群15名のデータ収集は済んでいる。今後も同様の方法によりデータ取得を継続していく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は野球投手の身体の浅層筋と深層筋の筋厚に関する横断的研究を行う期間と位置けている。今後は1年目で取りかかっている大学生のデータ数を増やすとともに系列高校等の協力を得て、高校生野球投手の筋厚測定に取り掛かることを計画している。
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Causes of Carryover |
深層筋の筋厚の撮像のため、専用の低周波数のプローブを購入する予定であったが、他の研究者より同機能を持つ機器を借用することができたため、購入を見合わせていたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者からのプローブ借用は2年目も可能であり、現在使用しているプローブに不具合が生じなければ、画像分析を行うソフトウエアの購入に充当したい。
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