2015 Fiscal Year Research-status Report
タブレット端末を利用したテニスの新たなゲーム分析ソフトの開発と実用化
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15K01592
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
道上 静香 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40346010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 雅央 滋賀大学, 経済学部, 助手 (40283551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テニス / ゲームパフォーマンス分析 / 分析ソフト開発 / 女子プロテニス選手 / コーチング / 戦術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,砂入り人工芝コート及びハードコートにおけるテニスのシングルスのゲームパフォーマンス分析を遂行するために,出来るだけ多くの試合映像を収集すること,得られた映像から基礎的データを収集すること,両サーフェスのプレー特性などに関する指導者の主観的評価を得ること,そして,得られた基礎的データなどの客観的評価と指導者の主観的評価との比較・検討することを目的とした.試合映像の収集については,国内で開催されているITF女子サーキットにおける女子プロテニス選手のシングルスの試合を対象として,複数台のデジタルビデオカメラを用いて撮影した.両サーフェスのプレー特性などに関する指導者の主観的評価の収集については,硬式テニスの指導経験者13名(このうち,プロテニス選手として活動経験のある指導者は7名,有資格者は9名)について,アンケート調査及びヒアリング調査を実施した.従来より得られている道上ら(2015)の客観的評価と指導者の主観的評価を比較・検討すると「ハードコートの方がラリーテンポは早いと思う」「砂入り人工芝コートの方がラリー回数は多いと思う」「砂入り人工芝コートでは,ラリーが長く続き,攻撃的なプレーが損なわれる」など,多くの指導者の経験則・主観的評価を覆す結果が得られた.このことから,指導者の経験則だけを頼りに選手の指導にあたるのではなく,数値データの提供や数値データに基づく指導が必要であること,指導者の指導レベルの向上が必要であること,各コートサーフェスに応じた指導方法・指導方針を明確化すること,日本で主流の砂入り人工芝コートを活用したハードコート対策をしていくことなど,日本独自の育成・強化を遂行していくことの重要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,試合映像をどれだけ多く得られるかが重要なポイントになるが,不測の事態が生じることもなかったため,順調に映像収集をすることができたといえる.しかし,得られた映像から基礎的データやゲームパフォーマンス分析データを得るには,膨大な時間を要することやデータの精度に影響することなどから,今後も継続して分析を続けていく予定である.質的分析においては,選手・指導者のアンケート調査において,想定以上に多くの情報を得ることができ,概ね,順調に研究を遂行することができたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究においては,前年度と同様の方法で,試合映像の収集を実施すること,基礎的データ及びゲームパフォーマンス分析を実施し,データの精度を高めること,両サーフェスにおける勝敗に起因する戦術的要素の抽出やポイント取得の類型化など,テニスの戦術における指導法の確立につながる科学的知見及び提言などを引き出す作業を行うことなどを予定している.また,同時並行して,膨大な時間を要する分析については独自の分析ソフトの開発に着手することを予定している.得られた結果については,学会などで,随時公表していく予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,本年度の物品費において,当初,想定していた以上に安価なものを揃えることができたことによるところが大きいといえる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の特質上,映像収集,データ分析及び学会発表などを実施する上で,旅費,人件費,謝金に多くの予算を費やす必要がある.本年度においても,想定していた以上にこれらの予算に費やすこととなった.したがって,次年度においても,同様の作業を実施することや更に多くのデータ分析に時間を費やすことなどから,生じた使用額を充当し,研究を円滑に遂行していく予定である.
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