2016 Fiscal Year Research-status Report
都市-農村比較研究を通した「地域スポーツ論」の再構成
Project/Area Number |
15K01595
|
Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
後藤 貴浩 国士舘大学, 文学部, 教授 (20289622)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | スポーツ空間 / 生活空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スポーツ組織の地域的役割に関する都市-農村比較研究を通して、コミュニティ・スポーツ論以後の「地域スポーツ論」の再構成に資する知見を得ることである。 2年目となる本年度は、農村(熊本県山都町)におけるデータの収集、地域スポーツ研究に関する先行研究の検討、都市(東京都調布市)におけるデータ収集を行った。初年度の調査により、活動が展開される「スポーツ空間」の地域的意味の重要性が示唆されたため、本年度は活動場所の地域的・社会的背景を視野に入れ都市・農村調査を行った。 一方、地域スポーツ研究においては、近年、「地域社会論」から「市民社会論」への転換の必要性が求められ、公共圏の創出が中心的議論となりつつある。しかし、そこでは具体的な「地域」を想定しない「市民」と「地域づくり」や「地域組織」との関係についてはほとんど検討されていない。 ここまでの現地調査では、特に農村において、「生活空間」と「スポーツ空間」の関係の在り方によって、そのスポーツ活動がもつ地域的な意味が異なることが示唆された。スポーツにおける関係性は、地域的範囲とは無関係に構築されることがある。しかし、活動場所となる「スポーツ空間」は、その地域が持つ歴史的・社会的背景を漂泊することはできない。スポーツを実践する人に限らず、地域住民の「生活空間」において「スポーツ空間」がどのような位置づけにあるかが重要になってくる。 最終年度となる次年度は、都市における「スポーツ空間」にかかわる実証的データと農村における補足データの収集を行う。データの分析結果をまとめ、「地域スポーツ論」の再構成について考察する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農村調査については、計画通りに進んでおり、最終年度に補足データを収集する。都市データについては、若干遅れているが、次年度前半で終了する予定である。理論的研究については、「コミュニティ・スポーツ論」および「市民社会論」を中心に検討を終え、本調査結果を踏まえ考察を加える予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
農村調査については、2-3回の現地調査を実施し、補足データを収集する。都市調査については、事例地(調布市ゲートボール場、総合型地域スポーツクラブ)で、7-8月に集中して現地調査を行う。理論的検討につては、現地調査と同時進行的に取り組み、特に地域スポーツ研究における「市民社会論」の可能性と限界について検討する。
|
Causes of Carryover |
震災により現地(熊本県)調査に制限があった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、補足データの収集を2-3回行う予定である。
|
Research Products
(2 results)