2017 Fiscal Year Research-status Report
東京五輪へ向けたスポーツによる国際貢献事業のストラテジーに関する研究
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15K01603
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20334873)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スポーツ / 国際貢献 / SDP / ソーシャル・キャピタル / 住民の組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに世界で展開されるSDPについて、その主要なアクターと具体的な実践内容という観点から明らかにしたが、今年度は社会的包摂という問題に、スポーツがいかに組み合わせられてきているのかについて、「社会規範の形成」や「信頼関係の構築」といった観点から検討を行った。いわば「ソーシャル・キャピタル」の関数として語られていくスポーツの実相についての検討である。明らかにされてきたファクトは次の3点である。①スポーツ組織に所属している人々は、「行政関係者へのコンタクト(Contacted Official)」「署名活動への参加(Signed Petition)」「投票行動(Voted)」といった代表的市民活動に対して活動的である。②スポーツ組織に所属している人々は、移民である友人との交流に積極的である。③スポーツ組織に所属している人々は、住民間の信頼が厚く、社会全体に対するポジティブな志向性が強い。 これらのファクトはUKを対象に調査された結果の一部であるが、ソーシャル・キャピタルの形成を促進する機会として、ボランティア活動、市民活動の積極的な参加が重要視される中、個人と個人、個人と社会を繋げながら、相互に連携し協力し合うスポーツ組織に属する人々の特質を浮き彫りにしている。こうした局面が明らかにされてきたことにより、住民を組織化する有効な手段としてスポーツを捉え返していく可能性を示すことができた。また、このような研究結果は、日本のSDPの展開を検討していく中で、重要な視点を提供するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内再編をめぐる学内業務に忙殺され、体調を崩したこともあり、当初の計画通りに、海外での現地調査を進展させることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外での現地調査を実施し、「スポーツを通じた国際貢献」に関する最新の動向を収集し、それを分析していくことで当該テーマの解題作業を恙無く進展させていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた海外での現地調査が他の業務により実施できなかったため。
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[Journal Article] Sport Policy in Vanuatu2017
Author(s)
Tsutomu Kobayashi, Hoye Russel , Nicholson Matthew
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Journal Title
International Journal of Sport Policy and Politics
Volume: Volume 9,
Pages: 753-765
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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