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2016 Fiscal Year Research-status Report

オリンピック後のスポーティング・レガシー構築に関する社会学的研究

Research Project

Project/Area Number 15K01607
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

大沼 義彦  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70213808)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywordsオリンピック / レガシー / 開発
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度は、(1)2012年ロンドン大会を契機としたオリンピックとレガシーに関する研究動向の調査、(2)2018年平昌冬季オリンピックに関する現地調査を行なった。
1.理論的検討と研究動向:2012年ロンドン大会の特徴は、跡地利用を含めたレガシーをその実施計画に戦略的に組み込んだことであった。Alan Bairner氏とは、ロンドン大会後に関する実証研究や理論研究について研究討議を行なった。ここではとくに、オリンピックパーク周辺のジェントリフィケーション、同パークの利用実態に関する批判地理学的研究の成果について確認がなされた。
2.2018年平昌オリンピックに関する現地調査:同大会については、松井理恵氏(北星学園大学非常勤講師)の協力を得、現地調査を実施した。明らかになったのは以下の点である。(1)施設面については、大会実施が可能なほどに整備が進み、プレ大会を通じて設備や運営面での再確認がなされる段階にあった。ただ、施設建設数の過剰さから、NPOでは大会後のレガシーに関する懸念も聞かれた。(2)江陵市では、オリンピック公園及び周辺に、新規にスケート場が4つ建設され、また文化施設も合わせて建設された。KTXの開通に合わせ、新駅も建造中であった。住宅需要も旺盛で、五輪を機に都市再開発が進められていた。(3)江陵市では、それまで中心市街地を分断していた鉄道線路が廃されたことにより、新たな街づくりが進められていた。特に新たな都市空間づくりと市民参加が市の課題となっていた。(4)市民参加の一端を担うNPOでは、都市インフラへの資金投入が膨大となった結果、市の予算に歪みが生じてきており、オリンピックに直接関連しない事業の停滞に対する懸念が聞かれた。(5)市や市民におけるレガシーを含めた大会の理想像は、長野オリンピックであり、これが大会の成否を測る準拠枠となっていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度の当初の研究課題は、(1)北京オリンピック後の社区体育の状況について検討すること、(2)平昌大会に関する現地資料調査を行うことであった。前者については、2022年北京冬季五輪開催が決定したことから、昨年度に前倒しして冬季五輪会場の現地調査を行なった。そのため、今年度は実施しなかった。代わりに、昨年実施する予定であった英国におけるスポーティング・レガシーに関する理論的研究、実証的研究に関する資料、情報収集を行なった。後者については、昨年度に引き続き松井氏の協力を得て行なった。
1.英国におけるオリンピック研究:ロンドン大会から四年が経過し、大会に対する評価やその後に関する研究が出版、報告されてきており、その収集を集中的に行なった。とくにオリンピック大会の負の側面や批判的研究が提出されてきており、オリンピックそのものやメガ・イベントが抱える課題が明確化されつつある。これらを裏付ける実証的研究も出されてきており、その成果を把握することができた。加えて、大会を機にジェンダーや障害者研究が活性化してきている点も確認することができた。
2.平昌大会に関する現地調査:2018年平昌大会については、特にスケート会場となる江陵市の都市開発の動きを具体的に知ることができた。KTXがソウルから延伸されることにより、市街地再開発が行われており、文字どおり、オリンピックが街を変える状況が生じてきている。都市インフラ整備部局での聞き取りにより、こうした都市計画の全体像が把握可能となった点は成果であった。その一方で、冬季スポーツの振興やオリンピックへの住民参加という点が後景に退きつつある点や、大会後のインフラやスポーツ施設の維持管理についての見通しについては、行政内でも不透明であり、大会のレガシー構築という点でも大きな課題となっていることも示された。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、平昌調査を中心に行う予定であったが、これまで調査研究を支えていた松井氏が一年間研修により不在となることもあり、当初予定していた調査計画を変更せざるをない。そのため、平昌調査については一部縮小した形で実施し、不足部分を次年度に行うことにする。また英国におけるオリンピック研究においては、ジェンダーや障害者への視点が不可欠となってきていることから、これに関するテーマを設定し、研究を行なっていく。
1.平昌調査:平昌オリンピックに関する継続調査を実施する。特にスケート会場が建設され都市再開発が進められている江陵市を中心に関連データの収集、フィールドワークを行う。また継続的に同市におけるまちづくりセンターやNPO等への聞き取り調査を実施する予定である。
2.英国におけるオリンピック研究:スポーティング・レガシーという点で言えば、ロンドン大会におけるジェンダー、障害者への影響が大きいことが改めて示されてきている。スポーティング・レガシーを検討する上でこうした観点は欠くことができないが、日本においてかかる研究蓄積が多いわけではない。したがって、こうした視点を補うために、本年度は特にジェンダーとスポーツに関する研究者を招聘し、セミナーやシンポジウムを開催する予定である。このことにより、オリンピック開催がスポーツ文化やスポーツ実践に与えた影響、またそれらの構築過程について、英国と日本の研究蓄積・経験を交えながら検討していく。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] オリンピック・レガシー論の検討:英国におけるスポーティング・レガシーへの「予見」から2016

    • Author(s)
      大沼義彦
    • Organizer
      日本体育学会第67回大会
    • Place of Presentation
      大阪体育大学(大阪府泉南郡熊取町)
    • Year and Date
      2016-08-26 – 2016-08-26

URL: 

Published: 2018-01-16  

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