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2016 Fiscal Year Research-status Report

再生筋における筋衛星細胞遊走性のin situイメージング

Research Project

Project/Area Number 15K01616
Research InstitutionAichi University of Education

Principal Investigator

春日 規克  愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60152659)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords筋衛生細胞 / 血管新生 / 神経成長因子
Outline of Annual Research Achievements

筋衛星細胞は,筋損傷や運動トレーニングなどによる刺激に対して活性化し,増殖,分化,融合と進み,筋の修復再生,新たな筋細胞の形成,肥大に働く。筋衛星細胞の活性化や増殖は,損傷筋細胞やマクロファージ,白血球に由来の増殖因子や筋衛星細胞自体からの放出増殖因子,その他,細胞外マトリックスやタンパク質誘因移動に働くケモカインなどのサイトカインによっても制御されている。再生過程で刺激を受けた筋衛星細胞が活性化し再生に働くには化学的なシグナルだけではなく,再生を可能とする環境を整える必要がある。
一方,血管と神経は2大ネットワークとして生理機構の全てに関与する存在である。損傷筋の再生には,血管由来の酸素・栄養物質の供給と,筋損傷が神経筋接合部での脱神経をともなう場合には再支配と軸索輸送由来のシグナル伝達物質による連絡も必要とされ,筋形態再生・機能回復,再生速度,2次的効果など種々の面からも再生筋と血管系,神経系の関係の検討が必要であると考えられる。筋損傷時におこる支配神経の解離及び再神経支配に関して,脊髄内の神経細胞体でのGAP43の増強,シュワン細胞内でのNGF受容体の増加が筋損傷により起こり,軸索終末の突起伸張,シナプス形成とそれに関わる分子・細胞移動など形態形成を進行させることを組織学的研究の成果としてこれまで報告してきた。また,組織の成長時には組織内の内皮細胞が発達し前駆細胞と結合する先行過程があることが知られており,これら血管・神経系の2大ネットワークとの関係を求める事が回復のメカニズムを知る手がかりとなると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前脛骨筋またヒラメ筋に対する挫滅損傷を惹起し,3,5,7,15日後の回復期に筋を摘出し,10μm厚の横断切片に対する組織染色により神経筋接合部の形態変化,筋線維当たりの毛細血管数,マクロファージ浸潤率,損傷面積比の変化を調べた。筋損傷率は過去の報告どおり挫滅3日後には単核細胞が膨潤または壊死した細胞間隙に集合し,次いで5日後には空洞化した細胞中に単核細胞の浸潤や亀裂状に見られる新生細胞の存在が観察された。マクロファージ浸潤率は損傷前と15日後には認められず,挫滅後3-7日には全体の3-4%を占めていた。筋全体に対する損傷線維率は挫滅5日後に横断切片の18%以上を占めるが,ブンガロトキシンで画像化した運動終板像や電子顕微鏡像で得られた軸索終末に正常構造を保つ神経筋接合部の全体比は挫滅刺激3日後で54.4%まで減少し,5日以降回復に推移した。GAP45により神経成長細胞を観察し損傷筋線維比率を比較したが,神経成長因子の発現は常に損傷筋量より先行し,筋の損傷がピークとなる5日後に既に半減していた。過去の研究では,損傷筋由来のLIFがその受容体を持つ神経細胞に軸索逆輸送されシグナル伝達系を通して軸索の修復,再支配を促進することも知られている。CD31,VEGFにて求めた新生血管数は挫滅3日後で急増し,5日後まで続いた後に減少し15日後には前値にまだ回復した。この変化を挫滅前値に対する増減比とした場合,損傷筋線維比率とかさなることから血管新生が筋の回復を支持することが示唆された。
過大な筋損傷は筋に内包する神経系や血管系を同時に損傷させるが,その再生には神経系の回復が先行し再生制御系を調えてから血管系が回復し,その指令と供給の基盤整備が整った上で筋が再生されることが示された。

Strategy for Future Research Activity

最終年度となる29年度は,昨年来の積み残しである損傷筋上で移動を観察した細胞が筋衛生細胞であるかの同定と,損傷→活性化→増殖→分化の時期別に筋衛生細胞の移動能を比較し,生体の制御メカニズムを検討することが1つ目の目標とする。次ぎに,筋衛生細胞の移動誘発因子であるHGFの濃度勾配を生筋上で作り人為的遊走を誘発できるか,さらに濃度勾配による移動方向のコントロールを試みる。HGF溶液によるインキュベーションにより十分に筋衛星細胞が遊走性を発揮した筋に対して,中枢端からPBS溶液,末梢端から100ng/ml程度のHGF溶液を0.2ml/minの速度で点下し,溶液は筋幅部で吸引することで筋表面上にHGF濃度勾配を作成する。中枢・末梢端からのPBSとHGFの点下側を切り替えた際に起こると予測される筋衛星細胞の移動方向の変換,移動速度の低下を観察する事で回復促進の制御メカニズムに関する有効な知見が得られると考える。

Causes of Carryover

残金が少額のため,無理に不要なモノの購入を避け,次年度への繰り越した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

29年度の物品費に加え使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Electrical stimulation of denervated rat skeletal muscle ameliorates bone fragility and muscle loss in early stage disuse musculoskeletal atrophy.2017

    • Author(s)
      Hiroyuki Tamaki, Norikatsu Kasuga.
    • Journal Title

      Calcif Tissue Int

      Volume: 100 Pages: 420-430

    • DOI

      10.1007/s00223-017-0250-y

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Bone loss due to disuse and electrical muscle stimulation.2016

    • Author(s)
      Hiroyuki Tamaki, Norikatsu Kasuga.
    • Journal Title

      The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine.

      Volume: 5 Pages: 267-273

    • DOI

      10.7600/jpfsm.5.267

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 成熟期中期のラット足底筋に対するジャンプトレーニングの影響2016

    • Author(s)
      辻本尚弥 鈴木英樹 春日 規克
    • Journal Title

      久留米大学健康・スポーツ科学研究紀要

      Volume: 23 Pages: 11-18

  • [Presentation] CHANGES IN NEUROMUSCULAR JUNCTION MORPHOLOGY OCCURRING IN CONJUNCTION WITH MUSCULAR ATROPHY: A COMPARISON OF INACTIVITY, DENERVATION, AND AGING.2016

    • Author(s)
      Nishizawa ,T., Kasuga , N
    • Organizer
      21th Annual Congress ECSS
    • Place of Presentation
      Autsria Wien
    • Year and Date
      2016-07-06 – 2016-07-09
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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