2015 Fiscal Year Research-status Report
家族性弾性線維腫の遺伝子解析、肩運動との関連を求めて
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15K01621
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤原 作平 大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 章博 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (30425631)
島田 浩光 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70330826)
石川 一志 大分大学, 医学部, 助教 (80600452)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 弾性線維腫 / 肩運動 / 遺伝子 / 家族性 / GWAS / 沖縄県 |
Outline of Annual Research Achievements |
弾性線維腫は高齢者の肩甲骨下、前腕伸側等に生じる遺伝性の高い良性腫瘍で、肩を使う肉体労働者に多く、長期のずり応力が線維腫の増大を助長するが、その原因遺伝子や本態は明らかでない。弾性線維腫の本態の解明は、臨床的に酷似する他の疾患との鑑別に有益となり、その治療法の確立にも寄与する。さらに肩を使用するスポ-ツ障害のメカニズムや、加齢に伴う運動器疾患の解明に繋がると考えられる。 一方沖縄県での調査によると、特に渡名喜島では21例の、また県全体で170例中55例の家族発生が報告されており、遺伝的背景を持った疾患であることが伺われる(Nagamine et al., Cancer,1982)。この遺伝子を解明すべく、上記論文の著者である長嶺信夫博士や渡名喜診療所の佐久川俊樹医師らの協力を得て、2014年6月から渡名喜島での調査を開始した。その結果3世代にわたる5家系を見出し、その中の25人の罹患者と33人の非罹患者とを同定した。 そのDNAをGWAS(genome-wide association study)解析を行い、罹患遺伝子の候補を探索した。その結果1領域でp値10-6オーダーの候補遺伝子が見いだされ、有力な候補領域であるが、確定ではない。その理由として、陰性と診断された人の中には、リスク遺伝型を所持しながら未発症またはごく軽症の人が存在する可能性があり、しかも、その発症比率(浸透率:この場合は労働負荷の有無や程度)が不明であることが考えられる。今後は、高齢で、画像診断により陰性と診断される人を可能な限り増やして、p値の増加を図りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の最大の研究目的には、遺伝子を確定することであり、これまで罹患者、非罹患者ともに、支障なく協力が得られた。しかし、まだ親子、兄弟での信頼できる罹患、非罹患の家系が、少ない。今後は画像診断の助けも借りて、さらに信頼しうる家系調査を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)候補遺伝子が確定した場合は、NGS(次世代DNAシークエンサー)で解析する。 (2)細胞培養とRNA解析 適宜手術される症例について、患者さんの同意のもとに、摘出組織からmRNAを抽出し保存する。健常部を対照として、その部からもmRNAを抽出し保存する。摘出組織からマイクロアレイ用に培養細胞作成を行う。そこからmRNAを抽出する。この場合にも、健常部を対照とする。 (3)プロテオーム解析用標本保存と解析 摘出組織の病変部と健常部に分けて、凍結保存する。培養細胞についても病変部と健常部由来に分けて、凍結保存する。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも進展があり、多くの試料が得られたため、予算が不足し平成27年度に前倒し支払請求をした。しかし実際に研究を進めた結果、前倒し支払請求時の計画よりも、細胞培養とRNA解析研究に遅れが生じたため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、細胞培養とRNA解析研究に使用したい。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Three cases of pigmented cosmetic dermatitis-like eruptions associated with primary Sjögren's syndrome or anti-SSA antibody.2016
Author(s)
Takeo N, Sakai T, Saito-Shono T, Ishikawa K, Hatano Y, Katagiri K, Takahashi Y, Kawano K, Kimoto K, Kubota T, Eshima N, Kojima H, Fujiwara S
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Journal Title
J Dermatol
Volume: 43
Pages: 162-164
DOI
Peer Reviewed
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