2016 Fiscal Year Research-status Report
国際級スポーツ選手の心理的能力を規定する生物学的基盤の解明
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15K01628
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
松本 高明 国士舘大学, 体育学部, 教授 (10245681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 裕和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (40437827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際級アスリート / 脳機能 / 唾液ホルモン / 競泳 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、平成27年度に実施した大学生競泳選手を被験者としたストレスホルモンとされる唾液中コルチゾール、テストステロン濃度が、合宿における一時的な一過性の高強度の運動負荷で両者ともに日内変動と異なる変動することを確認した。この時点においては、精神的なストレスを反映するとされるコルチゾール優位の変動か、身体的ストレスを反映するとされるテストステロン有意の変動化かは解明されていなかった。そのため、同一被験者に対し異なる運動負荷様式である漸増運動負荷によるホルモン測定を実施したところ、唾液中ストレスホルモンの変動が、運動強度を上げ、一定レベル以上の強度で初めて唾液中のストレスホルモンが両者とも上昇することから、身体的ストレスが両者のホルモンに影響を与えるということを見出した。また、精神的ストレスが唾液ホルモンの変動に影響を与えるか否かを検討するため、試合という精神的なストレスが、唾液中のホルモンのサーカンティズムに影響を与えるかを研究し、影響を与えることを確認し分析中である。このようなストレスに対する耐性には、個人差もあることから、共同研究者とともに同一被験者に対する脳波の測定を行い、脳機能に関する分析を試行中である。また、これら被験者に対する認知能力にかかる遺伝子多型の測定と競技力との関連性を検討した結果とともに、身体的ストレス、精神的ストレスとの関連を分析中である。その中で、高い競技順位を獲得する、より上位の競技会に選考されるといった競技力の高い選手の特徴として、測定してきた遺伝子多型の関連がうかがわれるため、競技力別の被験者の選定を行うこととした、平成29年度には、競泳、シンクロ、柔道、水球、陸上、レスリングのオリンピアン選手、これら競技のオリンピアンに近い競技レベルの非オリンピアンとの比較検討を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唾液ホルモンの測定が可能になり、分析が進んだ。その中で、同一の被験者に対する脳波の分析を進めている。それらの結果から、国際級のアスリート、すなわちオリンピアン、非オリンピアンの被検者の対象者を候補にして、順次唾液の採取を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液ホルモンの測定機器が故障し、経年劣化により修理が不可能となり、平成29年度に代替え機器のマイクロプレートリーダーを新規購入することとした。 現在、最終目標の国際級アスリートの心理的能力を規定する生物学的基盤の解明に向けて遺伝子、唾液ホルモン、脳波を測定し目標達成を図るべく解析中である。
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Causes of Carryover |
故障し修理不能となったたマイクロプレートリーダーの購入を要する。遺伝子採取用のスピッツがさらに50-100個必要となる。その被検者への謝金(雇用)支払いを要する。この成果の発表用の旅費交通費、製本費を予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
唾液ホルモン測定のために使用するマイクロプレートリーダーの年度初めの購入。遺伝子解析に用いる消耗品の購入、被検者への謝金、通信費を順次行う。研究の成果を公表するための学会参加費、製本代を使用する計画である。
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