2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ種目の違いが動脈粘性と左心室機能とのカップリングに及ぼす影響に関する研究
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15K01629
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
河野 寛 国士舘大学, 文学部, 准教授 (40508256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動脈粘性 / 持久的トレーニング / コンプライアンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,持久的トレーニングと動脈粘性との関係について主に検討した。長距離男性ランナー21名(E群:20.7歳),一般の健康な男性20名(C群:21.6歳)を対象とした。主要な項目は,最大酸素摂取量,安静時心拍数,上腕動脈血圧,頸動脈血圧,頸動脈コンプライアンス,頸動脈粘性であった。 最大酸素摂取量は,E群においてC群と比較して有意に高値を示した(65.3 ml/kg/min vs 44.7 ml/kg/min,p<0.05)。安静時心拍数は,E群においてC群と比較して有意に低値を示した(50.0 bpm vs 57.9 bpm,p<0.05)。血圧および頸動脈コンプライアンスに有意な差は認められなかった。動脈粘性は,E群においてC群と比較して有意に高値を示した(2285 mmHg・s/mm vs 1429 mmHg・s/mm,p<0.05)。 これらの結果は,持久的鍛錬者である長距離ランナーについて,安静時心拍数の低下(すなわち遠心性の左心室肥大)と動脈粘性の増加という循環適応が同時に起きることを示唆している。持久的体力と動脈粘性の関係に関する先行研究では,体力が高いと粘性が低いという結果が示されており,今回の研究とは不一致となる。しかしながら,先行研究では一般人を体力別に分類した程度の群分けであり,今回は日頃から高い強度の持久性トレーニングを実施しているアスリートを対象としたため,結果が異なったと考えられる。このことから,動脈の粘性を低下させるための持久性トレーニングには,適度な強度設定が必要である可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高強度の持久的トレーニングを実施しているアスリートのリクルートが容易ではないことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2パターンが考えられる。一つ目は,高強度の持久性トレーニングを実施しているアスリートを50名規模でリクルートして,現在の結果について被験者数により根拠を持たせる。二つ目に,10名程度で持久的トレーニングの介入研究を実施することで,今回の先行研究とは異なる結果を明確にする。 年度当初は両方の方向性を探りながら,研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
被験者のリクルートが上手くいかなかったため,謝金および実験にかかる消耗品費が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算は被験者の謝金に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)