2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01640
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
緒方 知徳 広島修道大学, 人間環境学部, 准教授 (30434343)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 絶食 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
体重制スポーツ実施者などにおいて、極度の低栄養状態もしくは絶食下で運動トレーニングを強いられる場合がある。しかしながら、このような栄養枯渇下における運動が骨格筋の分子レベルでの適応応答に与える影響はほとんど報告されていない。これを明らかにすることは、競技者が安全かつ効率的に運動効果の獲得をおこなう上で重要な情報である。 そこで平成27年度の研究では、絶食に伴い起こる骨格筋応答の基礎情報を明らかにするため、細胞保護に関連するタンパク質群や、タンパク質分解に関わる経路、タンパク質合成に関わる経路の応答を検討した。実験には、Wistar系雄ラットを用いた。24時間の絶食後(飲水は自由摂取)にラットから麻酔下で骨格筋を摘出し、それぞれの骨格筋応答に関連するタンパク質の発現量を検討した。その結果、Heat Shock Protein(HSP)70のような分子シャペロンタンパク質は、24時間の絶食では増減が認められなかった。一方で、タンパク質の分解に関わるオートファジーのマーカータンパク質(LC-3)は増加し、タンパク質合成関わるmTORタンパク質のリン酸化レベルの減少が確認された。特に、HSP70の変化が認められなかったことは重要な知見であると考えられる。通常、運動によりHSP70は顕著な増加が確認される。このため今後の研究では、絶食時においても分子シャペロンタンパク質の運動時の増加応答が認められるかどうかを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、絶食に対する骨格筋応答の基礎情報を得ることが目的であった。絶食下での細胞保護やタンパク質分解、タンパク質合成に関連するタンパク質群の発現量を検討することができ、今後の運動実験で注目すべき指標を決定することができた。抗体の反応が不明瞭のために測定が不可能であったタンパク質もあったが、おおむね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の課題において、実際にラットへの絶食下での運動モデルを用いた検討を行う予定である。特に①骨格筋細胞の保護に関連するHeat Shock Proteinsの発現が絶食下の運動時でも増加するか、②運動に伴い生じる筋の適応に関わる因子(遅筋化やミトコンドリアの増加)が絶食下でどのような応答を見せるかを明らかにする。28年度は、長時間の低強度運動モデルによりこのことを検討する予定である。
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