2015 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の自助・共助行動に関するリスクリテラシー形成要因分析と安全教育への応用
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15K01648
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡邉 正樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10202417)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 安全教育 / リスクリテラシー / 児童生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度の研究成果は以下の①と②である。 ① リスクリテラシー教育に関する内外の資料を収集,整理した。また安全教育研究やリスク研究に関する学会,研究会に参加して情報収集を行った。それらを踏まえてリスクリテラシー教育の内容・方法について検討した。リスクリテラシーはハザード知識,リスク認知,ニューメラシー,批判的思考力等で構成されることが想定されるが,従来の研究においては,これらは個別に研究されており,リスクリテラシーという概念で括ることは未だ不十分である。またリスクリテラシー教育は,リスク教育として従来実施しているものとの類似性が認められるものの(CatHaz-net, UNICEF他),ニューメラシーや批判的思考力の内容についてはほとんど取り入れられていない。ただしリスクリテラシー教育が比較的進んでいる分野に,医療分野(医学教育や患者教育)がある。医療従事者からは医療事故防止として,患者からは適切な受診・治療のためという視点から取り組まれており,ニューメラシー教育が取り入れられている。これらには参考となる内容があるものの,一般的な学校教育としてはさらなる改善,工夫が必要と思われる。 ② 近年普及が進んでいるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に関して,高校生の利用実態とリスク認知について調査を実施した。その結果,SNS利用に関わる迷惑行為のリスク認知は,加害経験者では低く,リスク認知は安全なSNS利用の自己効力感と有意な関連があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクリテラシー教育は新しい領域のため,ハザードやリスクに関するこれまでの研究や教育資料の収集と整理を行ったが,同時に平成28年度に予定している調査内容や,教材作成および教員を対象とした研修についての準備を行った。したがっておおむね順調に研究が進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度では,リスクリテラシーに関する大規模調査(Web調査を予定)とリスクリテラシー教育の実施(今回は教員を対象とした研修の中で模擬授業として実施予定)を行い,最終年度の総括につなげる予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に行う大規模調査にかかる費用を高額になることが予想され,27年度での未使用分を28年度へ回すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度での調査はWeb調査を2つ実施する予定となっている。Web調査の1件は3000人程度,もう1件は1000人程度を予定している。
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Research Products
(2 results)