2016 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の自助・共助行動に関するリスクリテラシー形成要因分析と安全教育への応用
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15K01648
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡邉 正樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10202417)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスクリテラシー / 教育プログラム / リスクアセスメント / 海外渡航 / リスク認知 / 予防行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. リスクリテラシー教育プログラムの試作 小学校・中学校での授業を想定し,大学生および教職員を対象としたリスクリテラシー教育プログラムを作成した。プログラムは大学講義および教職員を対象とした公開講座にて実施した。プログラムの内容は,主として感染症を例としてリスクアセスメントを行い,客観的データと比較することで,リスクリテラシーを高めるというものである。 2. 海外渡航・滞在における日本人のリスク認知調査 日本人の海外渡航・滞在における犯罪、テロ(暴動・政変を含む)、事故、自然災害、感染症のリスク認知関連項目と渡航経験や回数、被害経験との関連,およびリスク認知関連項目と予防行動意図との関連を明らかにすることを目的とした。対象は、日本国籍を持つ20歳から69歳の計2,000人(各年代男女各100名ずつ)とし、web調査を実施した。調査時期は平成28年12月である。調査内容は、渡航経験(過去10年間)、渡航回数、被害経験(自分、身近な人)と5つのハザード(犯罪、テロ、事故、自然災害、感染症)のリスク認知関連項目である。リスク認知関連項目は、リスク認知を「恐ろしさ」、「重大性」、「被害可能性」で、対処効果の認知を「反応効果性」と「反応コスト」によって、予防行動意図は今後海外渡航・滞在する際に、治安に関する情報を積極的に得ようと思うかについて段階評定で測定した。主な結果として,渡航経験の有無とリスク認知関連項目の平均値の差では、全ハザードにおいて対処効果の認知は渡航経験ありの者が有意に高かったが,リスク認知には差がみられなかった。渡航回数別のリスク認知では,渡航経験0回よりも1回の方がリスク認知が高くなるが,2回以降では逆に低下した。また予防行動意図はリスク認知と関連が強いが,対処効果の認知とは関連がみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクリテラシー教育のプログラムを試作して実施し,内容・方法について検討を行った。またリスクリテラシーに関する基礎調査として,20~69歳を対象とした海外渡航・滞在時のリスク認知・予防行動に関する調査を実施し,リスク認知を高めることが予防行動につながることが明らかになった。現在,結果を分析中であり,今後は順次発表を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には,青少年を対象としたリテラシーを中心とした調査を実施する予定である。実施時期は2017年6月を予定している。また28年次に作成したリスクリテラシーに関する教育プログラムを修正し,再度実施する予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度に大規模な調査を2回実施するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
青少年を対象としたリテラシー調査を2017年6~7月に予定している。
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Research Products
(5 results)