Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糖尿病、高血圧、がんなどの疾患の原因と考えられている酸化ストレスマーカーを含む複数のストレスマーカー(8-OHdG, 3-NT, 4-HNE, GSH, GSSG, ADMA, SDMA, Ky, 3-HK, 3-HA, KA)を液体クロマトグラフィータンデム質量分析 (LC/MS/MS)を用いて一斉に定量する方法を開発し、ストレス状態の評価におけるこの方法の有用性について疾患モデル動物を用いて検討することを目的とした。最初にストレスマーカー標準物質をLC/MS/MSにより一斉に定量する方法を確立した。次に、血漿からストレスマーカーを検出するため、GSH, GSSGの自己酸化、分解を抑える方法、8-OHdG, 3-NT, 4-HNE, GSH, GSSG, ADMA, SDMA, Ky, 3-HK, 3-HA, KAの血漿での抽出効率、再現性について検討を行い、ラット血漿ではGSH 分解酵素阻害剤により、GSH, GSSG の分解が抑制されること、抽出効率は概ね70%以上、変動係数は20%未満であることが明らかとなった。最後に本法を用い、高血圧自然発症ラット(SHR)およびコントロールラット(WKY)にコントロール食(0.5%食塩含有食)、4%食塩含有食, 8%食塩含有食を与え、LC/MS/MS で血漿中のストレスマーカーを解析し、8%食塩含有食の10週間投与により、SHRおよびWKYともにコントロール食に比べ、血漿中のKYA濃度が有意に減少すること、また、4%食塩含有食10週間投与により、SHR血漿中の SDMA濃度がコントロール食に比べ、有意に上昇すること、他のストレスマーカーの有意な変動は認められないことが明らかとなり、KYAおよび SDMAが食塩感受性のストレスマーカーとなりうる可能性が示唆された。
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