2015 Fiscal Year Research-status Report
精神障害をもつ当事者対象ワークライフバランス向上プログラム効果評価システムの構築
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15K01659
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷村 厚子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (70315761)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神保健 / ワークライフバランス / 尺度 / 地域 / 作業療法プログラム / アクションリサーチ / 人間作業モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が先行研究で開発したワークライフバランス尺度の構成概念妥当性と測定鋭敏性の向上を目指し、ワークライフバランス尺度改訂版の妥当性・信頼性・適合度の向上後、集団地域作業療法プログラムと当事者参加型アクションリサーチをワークライフバランス向上プログラムとして整備発展させ、その普及とともにワークライフバランス尺度を加えた一連のプログラム効果評価システムとして構築することを目的とする。 当該年度は、最初に先行研究で開発したワークライフバランス尺度の因子妥当性を見直した。最尤法、プロマックス回転による因子分析では、検討後、因子数を5因子に決定し、適合度検定の結果がdf=131、P=0.07となり、因子分析結果がデータに適合していると判断されたが、二重負荷の質問項目が2項目存在した。そこで、尺度を4件法から5件法に変更したワークライフバランス尺度の改訂版を使用し、サンプル数を増加して全国で幅広く調査を行い、さらなる信頼性、妥当性、適合度の向上を目指すこととした。また、プログラム効果を敏感に測定するために、計時的に調査することとし(約1ヵ月半の期間をあけて3回)、その変化量を検討することとした。これまで3地域で調査を実施し、53名の対象者の協力が得られた。信頼性、妥当性、適合度の検討は、目標サンプル数(150~300名)に達していないためにまだ実施していないが、現時点のサンプル数における3回の変化量は検討した。Friedman検定の結果、対象者全員の3回の回答には有意差はなかったが、そのうちの集団地域作業療法プログラム参加6名の「質問項目:趣味を持つ」の回答で、1回目にくらべて2回目に向上する傾向がみられた(P=0.097)。今後は、サンプル数を増加し、利用施設や利用回数等の違いで群分けをして比較検討することが有用だと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ワークライフバランス尺度改訂版調査において、同じ対象者に約1ヵ月半の期間をあけて3回実施する必要があること、調査担当者の手配が遅れたことなどのため、調査状況に遅れが生じたが、3地域で調査が実施でき、53名の対象者の協力が得られた。また、現時点のサンプル数における3回の変化量の検討により、利用施設や利用回数等の違いで変化量に差が見られる可能性が示唆されたことで、次年度以降のワークライフバランス尺度改訂版の妥当性・信頼性・適合度の向上とこの尺度を加えた一連のプログラム効果評価システムの構築の準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査担当者の手配を進め、尺度を4件法から5件法に変更したワークライフバランス尺度の改訂版の調査を全国幅広く継続して行うことでサンプル数を増加し、さらなる信頼性・妥当性・適合度の向上を目指す。また、並行してワークライフバランス向上プログラムを整備し、当プログラム普及研修会の開催準備を進める。ワークライフバランス尺度の信頼性・妥当性・適合度の向上後、各都道府県作業療法士会の広報協力を仰ぎ、次年度中に全国3ヵ所でワークライフバランス向上プログラム普及研修会を開催し、研究協力施設を募る。その後は、さらに全国3ヵ所で普及研修会を開催して研究協力施設を募る。 プログラム対象者は、各地域で20名程度募集し、無作為にプログラム参加群10名と対照群10名に割り付ける。参加群には①地域集団作業療法プログラムを実施後、その修了者に対し、②当事者参加型アクションリサーチの参加者を募集する。対照群には希望があれば後ほど参加の機会を設ける。①地域集団作業療法プログラムでは、参加群に3ヶ月・12回のプログラムを実施する。②当事者参加型アクションリサーチでは、①の終了から1~3ヵ月後、1ヵ月・4回(7ステージ)のアクションリサーチを実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、調査担当者の手配等の遅れから調査状況が遅れ、調査担当者と調査対象者の謝金および調査旅費に残額が発生したためであるが、次年度以降の研究推進のためにはこれらが必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画として、国内旅費に、28年度:2中地方2回分、1遠地方5回分、2中地方5回分、29年度:1遠地方5回分、2中地方5回分を使用する。調査担当者の謝金に、28年度:1名×3地方×5回分、1名×3地方×17回分、29年度:1名×3地方×17回分を使用する。対象者謝金に、28年度:調査250名分、プログラム60名分、29年度:プログラム60名分を使用する。
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