2016 Fiscal Year Research-status Report
高校の保健科における「考える力」の評価方法に関する実証的研究
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15K01661
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Research Institution | Sendai University |
Principal Investigator |
小浜 明 仙台大学, 体育学部, 教授(移行) (70170298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉元 直樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (60236172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保健科の学力 / 健康リテラシー / 批判的思考 / 素朴概念 / 高次知的能力 / 考える力 / 記述式問題 / 到達目標と到達度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は「研究の目的」「研究実施計画」に照らして以下の3つを遂行した。1)採点基準変動の抑制の検討(検証1):採点基準変動問題は評価者間変動と同一評定者内変動の二つに整理できる。本研究では後者を採用し、以下のように採点変動を最低限に抑える配慮をした。①到達目標(評価基準)を参考に国内時実施した大規模調査票(710名分)を概観し、採点前に作成した採点基準に追加や変更がないことを確認した。②次に約1ヵ月を掛け、項目ごとに二巡の採点を計画した。一巡目は採点基準の共有化を図るために、該当の調査票の中から記述量の多いものから少ないものまでを均等に20人分抽出して採点し、これらを評定例とした。③その次に通し番号順に30人程度を採点し、初めの評点例も含めてばらつきを修正した。④以降30人程度の採点を評定例を参考にしながら繰り返した。採点の間隔が空いた場合は評定例を再確認後に採点を再開した。⑤一巡目の全採点を終了した段階で二巡目の採点をした。二巡目はほとんど評定例を確認せずに採点した。⑥二巡目が終了し一巡目との評定が2点以下の場合は二巡目の採点結果を評定とした。⑦3点以上離れた場合は、もう一度評定例を確認してから再度採点を実施し、その結果を持って評定とした。2)(調査1)ハイステークスな大学入試に保健科目を導入しているフィンランドの高校生を対象に調査を実施する予定であったが、「学力観」の違いによって調査項目の摺り合わせが難航した。Eメールでは微妙な部分の意思疎通が困難であり、3月にフィンランドを訪問して調査項目の追加選択して折り合いがついた。なお調査結果の公表は双方の了解を得ることとなった。3)フィンランドの高校生の調査は翌年の4~5月(現地学年末)に実施することになり、今後調査終了後に分析し,日本,中国,フィンランドの結果を比較検討する。調査結果は,随時,学会等で公表していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイステークスな大学入試に保健科目を導入しているフィンランドの高校生を対象に調査を実施する予定であったが、「学力観」の違いによって調査項目の摺り合わせが難航したため。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は「研究の目的」「研究実施計画」に照らして,以下の3つを遂行する。1)日本の高校生の保健科における「考える力」と保健科の学力形成について、測定評価の側面から提案を行う。特に高校生でも小・中学校の教育内容での「誤った知識」が散見されたことから、調査の対象を小学生にも広げてパイロット的な調査を計画する。2)フィンランドの認識調査終了後直ちに結果を分析し,国内外の「考える力」に関する知見を総合して、保健科における高校生の「考える力」と保健科の学力形成を規定する要件を整理し、それをもとに教授学習過程と評価の効果的な在り方を提案する。併せて、8月にフィンランドの教科保健の成立と発展に尽力した中心人物であるラッセ・カンナス氏(ユヴァスキュラ大学スポーツ健康科学部学部長・教授)を招聘し、「フィンランドにおける健康に関する教育―保健科における『学力』とは何か」をテーマにした特別講演を企画している。なお、研究代表者・研究分担者もこの時一緒に講演する予定である。一方で、14億近い人口の中国での調査は、東北部の1都市の高校生(353名分)だったので、次期研究課題に向け、他の省での調査を計画する。3)調査結果は,随時,学会等で公表していく。
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Causes of Carryover |
フィンランドでの調査が翌年度になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査実施と分析及び公表(平成29年12月)までに執行
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Research Products
(5 results)