2017 Fiscal Year Research-status Report
重症心身障害児(者)の生理的指標からみた適切な日常生活ケアの検討
Project/Area Number |
15K01675
|
Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
今村 美幸 藍野大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60461323)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 重症心身障害児(者) / ストレス / 日常生活ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
重症心身障害児(者)(以下,重症児(者))の日常生活ケア(口腔ケア)時の反応を検討することを目的としている。測定指標は,サーモグラフィによる鼻部皮膚温度と自律神経系活動(HR,HF,LF/HF),そして行動観察である。 今年度は,施設入所中の重症児(者)3名(平均年齢27.3±3.2歳)のロ腔ケア(歯磨き)時の測定データ(自律神経系活動と鼻部皮膚温度)を分析した。交感神経系活動では,LF/HFは3名ともケア直後に上昇,HFは下降しており,口腔ケアによる自律神経系活動の一時的な高まりがみられた。そして,その後も各々2~4分間ほど持続していた。鼻部皮膚表面温度では,ケア直後に低下がみられ,2名は回復に約10分を要した。このことより,ケア後の心拍変動および鼻部皮膚表面温度はほぼ同様の変化を示すとともに,終了後もケアの影響が残ることが示唆された。また,その影響は鼻部皮膚表面温度の方がやや長い傾向にあった。 さらに,これまで自律神経系活動の測定が困難であった筋緊張の強い対象者に対しても鼻部皮膚表面温度による評価は可能であることが示唆された。行動観察については,現在分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者の異動に伴う教育・研究環境の変化により,データ測定や分析時間の確保が難しくなったことや,データ測定・分析などの際に協力してくださっていた施設職員の配置異動もあり,新たなデータ測定や分析を行うための時間調整が難しかったことが理由である。そのため,分析を行うことはできたが,新たに測定・分析を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は,これまでのデータ(行動観察)の分析を行っている。次年度は感覚刺激に焦点をあて,嗅覚・聴覚などに対する反応を同様の測定指標を用いて反応を検討する。そして,環境の変化とストレスについて考察する予定である。対象者については,新たな対象者の獲得が困難なため,これまでの3名を対象とする。
|
Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 今年度は新たな測定が行えず,分析などの時間も十分とることができなかった。そのため,交通費や消耗品,人件費や謝金などの使用が少なかった。 【使用計画】 次年度は新たに測定を行う予定である。測定には施設職員の研究補助を予定しているため,人件費や謝金が必要となる。また,測定・行動分析に係る交通費も必要となる。
|