2015 Fiscal Year Research-status Report
身体活動増加のための社会環境改善に資する科学的根拠を確立するための包括的疫学研究
Project/Area Number |
15K01677
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
澤田 亨 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 室長 (00642290)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 身体活動 / 自然環境 / 社会環境 / 空間疫学 / 地域相関研究 / コホート研究 / ロジスティック回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)国民健康・栄養調査研究 各地域における気象条件が国民健康・栄養調査における身体活動量にどのくらい影響を及ぼしているのかを解析するとともに、空間疫学研究手法を用いて空間可視化した理解しやすくインパクトのある地図を作成した。1995年から2011年までの17年分の国民健康・栄養調査データを2次利用申請の手続きを行って入手し、各都道府県において20歳以上を対象に歩数計で測定した1日の平均歩数を抽出した。気象データについては気象庁のホームページから降雪に関するデータを抽出した。最初に、都道府県別にみた歩数の地図を作成した。その後、都道府県別に各年度における歩数の箱ひげ図を作成し、降雪と歩数の関係を評価した。この結果、歩数測定時期における降雪の有無が1日の歩数測定に及ぼす影響が少ないことを確認した。本研究結果は第18回日本運動疫学会において発表した。 (2)労働者コホート研究 社会環境として勤務形態に着目し、勤務形態と尿路結石症罹患の関係を調査した。2001年度および2007年度に人間ドックを受診した日本人成人27,098人のうち、2001年度時点で尿路結石症に罹患していなかった労働者23,599人を対象にした。ロジスティック回帰モデルを使用し、「座作業時間の第1三分位群」を基準にして、潜在的交絡因子と考えられる年齢、性別、BMI、飲酒習慣、喫煙習慣を調整したうえで、他の群のオッズ比(95%信頼区間)を算出した。6年間の追跡期間中に169人が尿路結石症に罹患した。「座作業時間の第1三分位群」を基準にした他の群のオッズ比は、1.40(0.95-2.07)および1.43(0.97-2.23)であった(トレンド検定=0.081)。本研究の結果は身体不活動が日本人成人の尿路結石症罹患の危険因子である可能性を示唆した。本研究結果は第26回日本疫学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は初年度は研究環境およびデータ整備の予定であったが、順調に研究環境の整備やデータ整備が進んだことから、身体活動と自然環境および社会環境に関する解析を実施するとともにその結果を学会において発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にいくつかの解析を実施することができたため、その結果を受けて、更に質の高い研究に取り組んでいく。 (1)国民健康・栄養調査 自然環境および社会環境と身体活動量についてロジスティック回帰モデルを使用して地域相関研究を実施する。さらに、その結果を用いて、本年度に購入した地理情報システム(GIS)を利用した空間疫学研究を実施する。 (2)労働者コホート研究 糖尿病や高血圧といったアウトカムについて勤務形態との関係を調査する。また、環境要因と身体活動量や体力の低下とどのように関係しているか調査する。
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Causes of Carryover |
必要となる謝金支払いが当初の予定より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
謝金支払いが予定よりオーバーした場合に使用。
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Research Products
(3 results)