2015 Fiscal Year Research-status Report
大学生の健康行動変容に環境要因はいかに影響するか:3ヵ年の縦断的調査から
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15K01681
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
笠巻 純一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00456344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 順一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (20389373)
松本 裕史 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20413445)
笠原 賀子 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学科, 教授 (90194711)
宮西 邦夫 新潟県立大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (70018836)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 予防 / 健康行動 / 行動変容 / 環境要因 / 食 / 飲酒・喫煙 / 縦断的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の一次予防策推進は、本邦における健康政策の最重要課題の一つである。健康行動の改善を促す保健指導の技法については、近年、国内外で多くの検証がなされているが、行動変容に影響を及ぼす環境要因については未解明である。生活習慣病のリスクファクターになり得る健康行動の変容に影響する要因を解明することは、生活習慣病の一次予防策を検討する上で、有用と考えられる。そこで、本研究課題では、縦断的調査から青年層の行動変容に影響する内的・外的環境要因を解明し、生活習慣病の一次予防に効果的な健康行動改善プログラムの基盤形成に寄与することを目的とした。 平成27年度の研究においては、健康行動(食、飲酒、喫煙等)と健康行動に影響を与える因子を測定するための尺度について検討した。健康行動及び健康行動への影響が示唆されている諸要因(健康に関する知識・意識、居住形態、調理技術、経済的要因、社会心理的要因、健康行動の変容ステージ等)の測定について、当該研究領域に関する文献を検討した。さらに、健康行動が生活習慣病に与える影響について、独自に作成した健康行動評価尺度に基づき分析を試みた。生活習慣病の一次予防策推進には、生涯にわたる健康行動の影響を視野に、健康行動改善プログラムについて検討する必要があることから、生活習慣病の発症リスクが高まる中高年期の健康行動と生活習慣病の指標(血液検査値等のバイオマーカー)の関連についても分析を行い、本研究課題で用いる評価尺度の作成に反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画に沿って、食、飲酒、喫煙等の健康行動評価尺度と環境要因に関する調査項目の検討を行った。先ず、文献学的アプローチによって、健康行動及び健康行動に影響を与える可能性が指摘されている環境要因の測定について検討した。次に、従前から、継続的に分析・検討を重ねてきたアンケート調査の結果に基づき、健康行動に関する質問項目の妥当性と有用性を確認するとともに、精度を高めるための検討を加え、改善を図った。さらに、調査項目の選定及び評価尺度の精査に関して、無作為抽出された市民のデータ(研究倫理審査承認済)を用い、健康行動とBMI、血圧、血液検査値(血清脂質値、HbA1c、血糖値等)の関連性について分析し、健康行動による生活習慣病の指標の変動について検討を行った。研究分担者と協議を行い、平成28年度に実施予定の調査で用いる調査票を検討・作成し、研究倫理審査委員会の審査を受け、学生を対象としたアンケート調査の実施に関する承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、学生の健康行動(食・飲酒・喫煙等)、生活習慣変容ステージ、環境要因の実態把握を目的としたアンケート調査(第1次)を実施する。研究分担者、研究協力者と連携し、全国的に調査を実施する。調査実施後、データベースを作成し、各健康行動と環境要因の関連について分析を行う。青年期を対象とした調査・分析と並行して、生活習慣病の罹患率が上昇傾向を示す壮年~中高年期の生活習慣病リスクファクター(飲酒・喫煙等の生活習慣、肥満、高血圧、脂質異常、高血糖等)について分析を行い、生活習慣病の一次予防を目的とした本研究課題の参考資料として用いる。また、公衆衛生学や健康行動科学に関連する学会に参加し、専門家との意見交換を行うとともに、生活習慣病の予防や健康行動に影響を及ぼす環境要因に関する最新の研究結果について情報収集を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、当初予定していた学会の一部に参加しなかったことで、旅費の支出額が少なくなったことが挙げられる。学会等への参加を通して、研究代表者・研究分担者間で情報共有を行っているが、年度途中で、研究遂行に必要な情報が十分に得られたことから、追加で出張する必要性が低くなり、参加を見送った。また、これらの学会等への参加による情報収集で、研究図書を購入せずとも課題達成が可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画としては、次年度使用額と今年度の請求額を合せ、学会や研究者間の協議会旅費及び調査実施協力者への謝金等として活用することを計画している。
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Research Products
(4 results)