2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01684
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
松永 哲郎 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (10452286)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠 / 食習慣 / 精神的健康 / PSQI / DEBQ / GHQ / STAI / BDHQ |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠の質の低下は、うつ病などの精神疾患のほか、肥満、高血圧、糖尿病などのリスク因子となる。一方、睡眠の質の低下に関係している要因については不明な点が多い。本研究では、睡眠に問題を抱えやすいとされる若年者を対象に、睡眠習慣の現状を調査し、睡眠の質に関わる要因について検討した。 本年度は、19~29歳(20.9±0.2歳)の若年日本人 183名(男性:82名 女性:101名)を対象とした調査を実施した。 調査方法として、睡眠状況は自記式のPittsburg Sleep Quality Indexの日本語版(PSQI-J)により調査した。食習慣は簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いて評価した。食行動、精神的健康、特性不安については、それぞれ日本語版Dutch Eating Behavior Quetionnaire(DEBQ)、General Health Questionnaire(GHQ)12、State-Trait Anxiety Inventory(STAI)A-Traitにより評価した。また、年齢、身長、体重、運動習慣、喫煙、最近1ヶ月の体調を質問紙により調査し、各項目に関してPSQI-Jの合計点との相関を解析した。 調査の解析結果として、(1) 男女ともにPSQI-Jの合計点(高値ほど睡眠の質が悪い)とGHQ12およびSTAI A-trait(それぞれ高値ほど精神健康度が低く、特性不安が高い)との間に正の相関が認められ、また最近1ヶ月の体調不良とも正の相関を示した。(2) 男性において、PSQI-J合計点とエネルギー摂取量および炭水化物摂取量、情動的摂食(DEBQ)との間に正の相関が見られた。 以上の調査結果より、若年者の睡眠の質の低下に精神的健康の低下や特性不安が関係しており、体調不良と有意な関連が認められた。また、若年男性の睡眠不良においては、高いエネルギー摂取量や炭水化物摂取量が関係していることが示された。以上より、睡眠の質低下の予防には精神的健康の改善に加え、食習慣の改善を考慮する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の調査対象者数と同程度の対象者に対し、調査を実施することができた。また、解析結果より、先行研究と同様の知見(睡眠の質低下と精神的健康の低下との関連)が得られるとともに、栄養摂取や食行動との相関(炭水化物およびエネルギー摂取と睡眠の質低下との相関、情動的摂食との相関など)については新知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに調査票による調査対象者の拡充を実施するとともに、睡眠計や唾液中ストレス成分の評価、遺伝子解析などを組み合わせ、睡眠の質に関わる因子間の相互作用を考慮した多面的な解析を実施する予定である。これにより、青年期の睡眠の質の関連する要因の抽出と各因子の影響度・相互作用が分かり、睡眠障害の予防の手立てを得ることが期待される。
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