2016 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群における認知・行動評価尺度の標準化と心理-生理モデル構築への応用
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15K01685
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅谷 渚 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90508425)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 副腎皮質ホルモン / インターロイキン6 / C反応性蛋白 / 認知 / 行動 / 不安 / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、【研究1】過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)における認知・行動的要因の評価尺度の標準化を行い、【研究2】これらの評価ツールを応用して、IBSとの関連が報告されてきた内分泌系指標(視床下部-下垂体-副腎系指標のうち副腎皮質ホルモン)、免疫系指標および自律神経活動といった生理指標と認知・行動・感情との関連を探ることである。平成28年度はIBS患者における認知・行動評価尺度(Cognitive Scale for Functional Bowel DisordersとIrritable Bowel Syndrome-Behavioral Responses Questionnaireの日本語版)標準化のための調査(研究1)と非患者のIBS保有者におけるこれらの評価尺度と生理指標の関連を見る実験(研究2)を並行して実施しデータ収集を行った。本研究はこれまで不十分であったIBSの心理・生理学的メカニズムの解明に貢献するべく、IBSに特化した評価系の整備から始め、それを調査に応用するものである。IBSに特化して開発された認知・行動的指標について日本語版の標準化を進めることは、より正確な病態理解を深めることにつながる。さらに、このような適切なアセスメント方法が、IBSの臨床像をより的確にとらえた心理・生理学的メカニズムの解明への貢献を可能とし、ひいては治療プログラム改善を促進することが期待できる。我々は平成28年度に進めたデータ収集を次年度も継続し、データ解析・成果発表を行うことで、IBSへの有効な介入方法の手掛かりとなる、より臨床的に意義深いIBSの心理・生理学的メカニズムの提示することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2については順調にデータ収集を進めており、目標対象者数の半数は遂行できている。しかしながら、研究1についてはデータ収集が遅れているため、総じて「やや遅れている」と判断する。この状況を踏まえて研究1については他機関での実施が決定しており、平成29年度は複数の医療機関でデータ収集を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は研究1については他機関での倫理審査を通過し次第、引き続き複数機関でデータ収集を行う。研究2についてはデータ収集を継続し、適宜唾液検体の分析も行う。平成29年度中に中間報告として学会発表を目指す。なお、平成27年度に産休・育休を取得した影響で研究の進捗状況が遅れているため、平成29年度に延長の手続きを行う予定である。
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Causes of Carryover |
代表者の産休・育休取得などの事情に伴う研究の遅れ(データ収集の遅れにより唾液検体の分析にかかる費用の支出がなかった等)や出張が不可能となったことにより、使用計画が大きく変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、データ収集を継続するにあたり、心電計本体の追加購入に20万円ほど、心電計用電極の購入に5万円ほど、唾液採取用チューブの購入に3万円ほど、謝金の支払いに9万円ほど(30名分)を支出する。唾液検体の分析の際に分析キット(コルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン、インターロイキン6、C反応性蛋白)を購入するため80万円ほど、ピペットチップの購入に4万円ほど支出する。
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