2016 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における高齢者の教育支援活動が児童と高齢者の心身の健康に及ぼす影響
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15K01687
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内田 勇人 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50213442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 光児 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00206111)
井上 靖子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00331679)
江口 善章 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10249469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 児童 / 高齢者 / 世代間交流 / 教育支援 / 学校環境適応感尺度 / 高齢者イメージ / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高齢者ボランティアによる児童養護施設入所児童への教育支援が児童の学校環境適応感に及ぼす効果について検討を行った。研究参加者として、兵庫県A市のA児童養護施設に入所する小学1年生から6年生までの児童24名(男子12名、女子12名。9.3±1.8歳、以下入所児童)、対照群としてA小学校3年生から6年生67名(男子29名、女子38名。10.0±1.2歳)を選んだ。高齢者は同市に在住する男性3名(79歳、75歳、65歳)であった。教育支援の内容は、1週間に3回の頻度で小学校の担任より出された宿題を適宜補助した。調査内容として、児童に対しては「性別」「学年」「アセス(学校環境適応感尺度)」「不定愁訴(14項目)」を選択した。入所児童にのみ「自己効力感」等に関する項目を選び、それぞれ聞き取りアンケート形式により調査を行った。調査は2016年1月下旬と3月中旬から4月の2回実施した。高齢者に対しては、「教育支援に関する感想・気づき」について、個別インタビューを行った。分析方法は平均値の差は対応あり、もしくは対応なしのt検定、頻度の差はχ2検定、McNemar検定をそれぞれ用いて統計学的有意性(p<0.05)を検証した。教育支援前後におけるアセス総得点、項目別得点を比較したところ、対照群においては有意差がみられなかったが、入所児童群においてはアセスの総得点(p<0.05)、「授業がよくわかるようになった」「元気がないとき友だちはすぐ気づいて声をかけてくれた」の各項目得点(各p<0.05)、および自己効力感の中の「何かしようと決めるとすぐそれに取り掛かる」の得点(p<0.01)が有意に高まっていた。高齢者ボランティアによる児童養護施設入所児童への教育支援は、入所児童の学校環境適応感全体、中でも学習面や友人との関係、および自己効力感の一部にポジティブな影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当該の施設・小学校、シニアボランティア等の協力を得て、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるため、通常の教育支援と合わせて、施設外における支援を実施する予定である。具体的には里山教育施設を利用し、屋外における児童とシニアボランティアとの交流、教育実践を行い、その実施効果を分析する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議での発表が、本務先勤務の関係で取りやめとなり、旅費の使用額が少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は国際会議での発表を予定しており、旅費として使用する予定。
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Research Products
(7 results)