2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01694
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
藤木 理代 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (50454450)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 嚢胞性線維症 / CFTR遺伝子変異 / 膵外分泌不全 / 低栄養 / 患者家族会 / 栄養管理法 |
Outline of Annual Research Achievements |
嚢胞性線維症(CF; cystic fibrosis)は、Cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR)遺伝子の変異を起因とする遺伝性疾患で、患者の多くは膵外分泌不全を呈する。日本を含むアジア人種には非常に稀な疾患で、症例報告が少なく食事療法は十分に確立されていない。 本研究ではCF患者22名の栄養状態を評価した。膵外分泌不全を呈する15名の内10名(67%)がCFTR遺伝子変異を複合ヘテロ接合体で、4名(27%)がヘテロ接合体で持っていた(1名未解析)。一方、膵外分泌不全を持たない7名については、2名(29%)が複合ヘテロ接合体変異、2名(29%)がヘテロ接合体変異、3名(43%)が変異なしで、遺伝子変異と疾患に関連が確認された。 BMIは、18歳以上の患者9名中8名が18.5未満であった。アルブミン値およびヘモグロビン値はBMIと有意な正の相関(p<0.05)を示し、特にBMI16未満の者で顕著に低値であった。18歳未満の患者ではBMIが10パーセンタイル未満の者で、アルブミン値およびヘモグロビン値が顕著に低値であった。 患者家族会の方々、主治医、管理栄養士、看護師、薬剤師、作業療法士を招きCF情報交換会を実施した(2016年11月5日、名古屋)。患者は食欲が低下しやすく、偏食も多い状況であった。また、脂肪便や便の匂いに悩みを抱えていた。 栄養管理法として、①膵消化酵素補充剤を毎食後、食事が長時間におよぶ場合は食中も服用する。②栄養付加量は、栄養アセスメント結果をモニターしながら、エネルギーを基準値の1.3~1.5倍摂取し、脂溶性ビタミンを積極的に摂取する。③中鎖脂肪酸や成分栄養剤なども活用する。④膵外分泌不全がない場合でも、呼吸器症状によるエネルギーの消耗を考慮し栄養量を付加することを提言した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、連携研究者が事務局を務めるCF登録制度という組織を通して、患者、患者の家族、主治医、管理栄養士、看護師、薬剤師、作業療法士、CF研究の専門家と連携を取っている。そのため、患者の情報を得たり、直接会って介入をしたり、管理栄養士同士で栄養管理法の相談をするなどの取り組みが順調にできている。 研究予算を予定通り執行し、研究に必要な解析、データ収集が滞りなくできている。 連携研究者や他の施設の管理栄養士と定期的に会合を設け、解析データについて分析、考察を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、①患者の担当管理栄養士と連携し、CF患者の栄養管理法を確立する。②確立した栄養管理法が、食事療法学会、病態栄養学会、栄養改善学会等の関連学会で承認されることを目指し、学会の各分野の専門家の意見を伺いながら、より洗練されたものに仕上げる。③確立した栄養管理法を公表し普及させるために、1)学会発表をし、多くの管理栄養士に疾患の病態や栄養管理法を知ってもらう。2)CF登録制度のホームページに情報をアップする。その際、管理栄養士向けと、患者向けに分けて、ニーズに応じた情報を掲載する。3)Webサイトへの掲載のみならず、情報を冊子にまとめ、関係者に配布する。
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Remarks |
連携研究者が開設したホームページに研究内容および成果が掲載されている。
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