2016 Fiscal Year Research-status Report
ロコモティブシンドローム予防のための包括的介入プログラムの開発
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15K01710
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池添 冬芽 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10263146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市橋 則明 京都大学, 医学研究科, 教授 (50203104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロコモティブシンドローム / 構造方程式モデリング / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究目的はロコモティブシンドローム(ロコモ)に直接的・間接的に影響を与える因子について構造方程式モデリング(以下、SEM)を用いて明らかにすることとした。 対象は723名の地域在住高齢者(68.4±5.1歳)とした。ロコモの評価にはロコモ25を用いた。質問紙を用いて転倒歴および抑うつ度を評価した。身体機能として移動動作能力、筋力、バランス能力、脊柱アライメント、心肺機能(心機能および呼吸機能)を評価した。また血液データより栄養状態を評価した。これらの変数を用いて仮説モデルを構築し、SEMを用いて解析を行った。 SEMの結果、ロコモに直接影響を与える因子は、移動動作能力と抑うつ度、呼吸機能、転倒歴であった。間接的に影響を与える因子は筋力、バランス能力、脊柱アライメント、移動能力、年齢、性別、転倒歴であった。ロコモに与える影響の大きさについて、直接的・間接的な影響をあわせた総合的な影響の大きさは移動能力、筋力、抑うつ度、年齢、転倒歴、呼吸機能、バランス能力、性別、脊柱アライメントの順に大きかった。最終モデルにおける適合度指標はGFI=0.888、AGFI=0.861、CFI=0.912、RMSEA=0.067、AIC=1226.7であり、モデルの適合度は十分であると考えられた。 本研究の結果、ロコモに直接的に影響を及ぼすリスク因子は移動能力、抑うつ度、転倒歴、呼吸機能であり、ロコモに与える総合的な影響の大きさを示す総合効果は移動能力、筋力、抑うつ度の順に大きかった。これらのことから、筋力低下という運動器の機能低下による移動能力低下だけでなく、抑うつという心理的な因子もロコモに大きな影響を与えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、地域在住高齢者のロコモに直接的・間接的に影響を及ぼすリスク因子についてSEMを用いて検討した結果、ロコモに直接的に影響を及ぼすリスク因子は移動能力、抑うつ度、転倒歴、呼吸機能であり、ロコモに与える総合的な影響の大きさを示す総合効果は移動能力、筋力、抑うつ度の順に大きかったことから、運動器の機能低下による移動能力低下だけでなく、心理的な因子もロコモに大きな影響を与えていることが示唆された。しかしながら、これらは横断的な分析結果であり、ロコモの悪化に影響を及ぼす因子についての縦断的な検証については今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)の悪化に影響を与える因子について明らかにするため、ロコモに関して追跡調査を行い、ロコモの悪化と運動機能との関連についての縦断的検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究目的は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)と身体機能(移動動作能力、筋力、バランス能力、脊柱アライメント)、心肺機能(心機能および呼吸機能)、栄養状態との関連性について明らかにすることであり、本研究目的は達成したものの、対象者数は当初予定していた人数よりも少なかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究においては対象者数を増やしてロコモティブシンドローム(ロコモ)の追跡研究を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)