2015 Fiscal Year Research-status Report
カイロミクロンレムナント蓄積の臨床的意義とリポ蛋白単離による機能解析
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15K01713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 大作 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20568753)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レムナント / apoB-48 / 耐糖能異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
①検診で「異常なし」症例でのインスリン抵抗性・酸化ストレス・炎症とCM-R蓄積との相関の検討;大阪大学勤務者で健康診断を受けた99 例の血清アポB-48、RemL-C濃度や脂質マーカーHODE、HETE濃度を測定した。nonHDL-C濃度はTC、LDL-C濃度と極めて強い相関を示し、TG濃度とRemL-C・アポB-48 濃度は正相関した。HODE、HETEとアポB-48濃度は4分位の各群で正相関した。これらのことから、nonHDL-C濃度は内因性のレムナントに、外因系レムナントであるアポB-48は酸化ストレスに影響を与えいずれも動脈硬化惹起性につながるものと考えられた。 ②糖代謝正常・耐糖能異常・糖尿病(治療前後)における空腹時・糖負荷後のCM-Rの蓄積の評価;大阪大学医学部附属病院におけるOGTTの結果分けられた正常糖代謝(NGT27名)、耐糖能異常(IGT19名)および糖尿病(DM39名)の3群の空腹時検体、およびNGT群28名とDM群57名糖負荷後検体のアポB-48濃度や脂質マーカーを測定した。空腹時log-apoB-48値はIGTおよびDM群でNGTより有意に高値であり、apoC-3濃度、2時間後インスリン値およびAUC-インスリン値と相関していた。IGT群における空腹時高log-apoB-48値の規定因子はapoC-3濃度およびAUC-インスリン値であり、IGTにおいてもカイロミクロンレムナントの増加が示唆された。さらにapoB-48濃度は糖負荷後いずれの群においても有意に上昇した。incremental AUC-アポB-48濃度はNGTよりDM群で高値であり、DM群においてHOMA-IRおよびapoC2/apoC3比が強い相関を有し、apoC2/apoC3比が規定因子と判明した。カイロミクロンレムナントは糖負荷後に増加し動脈硬化惹起性と関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事前に研究計画に設定した2項目である「検診で「異常なし」症例でのインスリン抵抗性・酸化ストレス・炎症とCM-R蓄積との相関の検討」「糖代謝正常・耐糖能異常・糖尿病(治療前後)における空腹時・糖負荷後のCM-Rの蓄積の評価」のいずれにおいても結果を得ることができた。特に、予想された通り小腸由来レムナントの蓄積は動脈硬化惹起的である炎症反応や酸化ストレスを誘発しまた糖尿病のみならず耐糖能異常の段階から糖分の負荷のみだけで認められたことから、これら動脈硬化惹起的な変化を捉えることができており満足のいく結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
事前に研究計画を立てた通りH28年度は「疫学検体における急性冠症候群(ACS)・脳梗塞の発症とCM-R蓄積との関連の検討、ACS・脳梗塞発症急性期におけるプラーク破綻・血管閉塞・安定化の経過におけるCM-R変化の検討」「今まで分離できなかったCM-R粒子が有する動脈硬化惹起性についての直接的な検討」を遂行する。後者においてはすでに研究が進んでおり予定どおりの推移が見込まれている。前者においては臨床研究はすでに大半が終了しており解析を進めている。そこから得られた結果を治療に結びつけるため、投薬治療による効果判定の臨床研究を考えているが、これは同じ部局に属する十分な経験を有する者とディスカッションを進めながら進行することによりH28年度中の終了を完遂しうると予想している。
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Research Products
(5 results)