2016 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病のリスクを予測する精神ストレスマーカーの疫学的検討
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15K01718
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
島ノ江 千里 佐賀大学, 医学部, 助教 (10734064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 明子 佐賀大学, 医学部, 講師 (10330979)
田中 恵太郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (50217022)
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90336115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理社会的ストレス / 酸化ストレス / 大規模コホート研究 / 質量分析計(LC-MS/MS) / 尿中バイオマーカー / 睡眠 / ストレス対処行動 / 社会的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は主に①候補バイオマーカーの選定と大規模測定の手法と測定環境の整備。②追跡調査(10年後調査)③心理社会的ストレスと睡眠の質の悪化との関連、および、これまでに測定したバイオマーカーとの関連について追加の解析を実施した。
①では、グルココルチコイド類の大規模疫学研究における信頼性の高い方法にさらに改善した(論文投稿中)。その検討において、同時に測定可能な新規マーカーが明らかになった。この炎症マーカーは、すでに測定済みのマーカーと組み合わせることで、精神ストレスと生活習慣病の関連メカニズムの解明に大きく寄与できることが期待できる。②の調査は、順調に進められており、本研究の対象者8500人に対する約60%に対する健康調査が終了した。③では、ストレス対処行動や社会的支援により、自覚ストレスと睡眠の質の悪化との関連が軽減されていることを明らかにした(日本疫学会、日本行動医学会発表)。また、5年間に対処行動や社会的支援が減少していた対象者で、自覚ストレスと炎症マーカーの負の関連が示されなかった成果をまとめた(論文投稿中)。この結果は、対処行動や社会的支援の欠落が、自覚ストレスを健康に悪影響を及ぼす精神ストレスに変化する過程を示唆する可能性がある。一方、尿中の酸化ストレスマーカーは自覚ストレスの高さと関連していたが、この関連は抑うつが高い対象者で示されなかった。うつ病患者では、酸化損傷の修復機構が低減しているような遺伝的背景が報告されており、自覚ストレスと酸化損傷を示す尿中バイオマーカーとの関連が、抑うつの高い対象者で修飾されている可能性がある(投稿中)。さらに、ストレス防御因子(ストレス対処行動など)に影響する遺伝的背景についても検討した結果、神経伝達物質の調整に関与する遺伝子との関連が示された(投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、10年後調査については計画通り実施されている。関連がみられたバイオマーカーとの結果については、27年度の学会発表から論文投稿まですすめることができた。 佐賀大学医学部の機器センターの移転で遅れていたLC-MS/MSによる測定準備は順調に進められたが、同時に測定可能な新規マーカーを見つけたことから本測定については29年度に開始することになった。研究費の効率的な使用のための意図的な計画からの遅れであることから、全体的には概ね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
グルコココルチコイド類に新規炎症マーカーを追加した約8500名の尿中バイオマーカー測定を実施する。また、10年後調査による自己申告の疾患について、全件カルテ調査を実施していく。10年後調査の実施終了後にカルテ調査を行うため、疾患発症と心理ストレス、バイオマーカーとの関連を検討することは30年度になる。疾患の新規発症の信頼性は、疾患登録環境の未整備な日本においては確実に高めておく必要がある。この点については、今後の研究展開において非常に重要な点であることから最優先事項となる。
したがって、本年度中にバイオマーカー測定までをすすめ、そのデータ整備による心理社会的因子とバイオマーカーの関連を解析する。また、本研究を基盤とした分子疫学的な研究に展開する意義と、効率的に研究環境の整備が可能かどうかを検討する。この検討により、尿中バイオマーカーの探索に、精神ストレスによる遺伝子のメチル化というバイオマーカーが疾患リスクと関連するかを検討する研究計画に再構築する意義と研究実施可能性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新規測定可能なバイオマーカーの検討、機器センターの移転から、約8400名の本測定の開始を延期した。この決定は、より効率的な研究成果を得るためには必要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に、約8400名の本測定用の試薬、消耗品、人件費により使用する。使用品目の詳細については、研究申請時の予定からの変更はない。
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Research Products
(4 results)