2016 Fiscal Year Research-status Report
肥満を伴う認知症予防における、脾臓IL-10合成能及び門脈血GLP-1の重要性
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15K01721
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 講師 (00423715)
植田 聡 大分大学, 医学部, 助教 (00624511) [Withdrawn]
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脾臓 / GLP-1 / 小腸 / 脳内BDNF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肥満による脾臓由来IL-10の合成能および門脈血GLP-1濃度が、アルツハイマー型認知症の病態形成に大きく関与していることを明らかにすることにある。 下部小腸から血糖降下作用を有するGLP-1が放出されるが、肥満および2型糖尿病患者では、このGLP-1分泌能もしくは血中GLP-1濃度が低下していることが広く知られているが、そのメカニズムに関しては不明な部分が多い。このような症例に対して、GLP-1を不活化させるDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)の阻害薬が血中GLP-1濃度を増加させ、糖尿病治療に有効であるとされている。本研究の中でまず「脾臓と小腸」との関係に注目しており、肥満による脾臓由来IL-10合成能の低下が小腸からのGLP-1分泌能低下に関与していることが予想される。また、本研究により予想通りの結果が得られれば、糖尿病治療薬として有用であるDPP-4阻害薬もしくはGLP-1製剤が、脳内BDNF発現を活性化させることによって認知症の進行もしくは発症予防に威力を発揮し、今後の認知症の治療戦略に重要かつとても意義のあるものとなる。 平成28年度の研究成果として以下のように示す。 脾臓摘出により、門脈血GLP-1濃度は低下し、小腸内GLP-1発現も低下していたが、DPP-4阻害薬の投与は、門脈血GLP-1濃度の低下を改善させた。また、脾臓摘出による脳内BDNFの低下がDPP-4阻害薬の投与によって保持された。脳内の炎症所見も同様の結果であった。一方、アミロイドβやAPPといったアルツハイマー型認知症関連タンパク質の脳内沈着には有意な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた、DPP-4阻害薬の効果に関する評価に関する実験において、DPP-4阻害薬の投与による内因性GLP-1を増加させると、肥満およびSPXによる脳内でのBNDF発現、脳内炎症の改善という結果を出すことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではDPP-4阻害薬で検討していたが、今後GLP-1の投与によっても脳内BDNF発現や脳内炎症性変化の改善をもたらすか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
計画当初の予定費用よりも安価で実験が遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の文献調達費用に活用する予定である。
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