2016 Fiscal Year Research-status Report
臓器結合型アディポネクチンによる心疾患抑制機構と治療的効果に関する研究
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15K01734
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
井上 敬夫 近畿大学, 医学部, 助教 (00441006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 久美子 近畿大学, 農学部, 准教授 (00288888)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心筋結合型アディポネクチン / 血清アディポネクチン / T-cadherin / 心筋細胞肥大 / 心筋線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗メタボリックホルモンであるアディポネクチンの血中濃度と疾患発症との間には負の相関関係があるとの報告が多数なされている。一方、関連がないとの報告があり、未だ議論の余地がある。我々は、血中アディポネクチンとは別に臓器特異的に結合するアディポネクチンの存在を見いだしている。本研究では、血圧と心肥大に対する血中アディポネクチン濃度と心筋結合型アディポネクチン量の関係について正常血圧ラット、高血圧ラット、脳卒中ラットを用いて検討した。 血中アディポネクチン濃度に対する血圧及び心肥大率(心重量/体重)では負の相関関係はみられなかった。一方、心筋結合アディポネクチン量は、脳卒中ラットにおいてのみ有意な減少が確認された。アディポネクチンの受容体であるT-cadherinにおいても同様の結果が得られたので、これはT-cadherinの発現減少によるものであると考えられた。正常血圧ラットと高血圧ラット間において心筋結合型アディポネクチン量に有意な差はみられず、心筋結合型アディポネクチンと血圧の間には関連性がない事が示唆された。組織学的解析によって得られた結果と心筋結合型アディポネクチン量の相関性を調べたところ、両者の間には負の相関関係がみられた。 アディポネクチンの疾患との関係性は、必ずしも血中濃度に依存しないことが明らかとなった。一方、心筋結合型アディポネクチン量は心肥大との関連性があり、その重要性が示された。 平成28年度は、心筋結合型アディポネクチンの作用メカニズムを明らかにするために、心筋細胞を用いて解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋結合型アディポネクチンと心肥大の関連に関するメカニズムを解明するに当たって、当初は扱いやすさから、ラット心筋細胞株H9c2を用いてT-cadherinノックアウト株を作製した。しかしながら、T-cadherinノックアウト株は分化培地において分化能を欠いたため、現在はラット心筋初代培養細胞で解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋結合型アディポネクチンの細胞レベルでのメカニズム解析結果をまとめつつ、最終年度に計画しているアディポネクチン投与による脳卒中ラットSHRSPにおける心疾患に対する治療的効果について解析を行う。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイの試薬が新製品の発売に伴い、価格が半額程度にまで下がったため、見積額を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、ラットへの投与に使用するオスモティックポンプ、実験動物、解析に使用する抗体、ガラス、プラスティック等を計上している
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[Journal Article] Modest Static Pressure Can Cause Enteric Nerve Degeneration Through Ectodomain Shedding of Cell Adhesion Molecule 1.2016
Author(s)
2.Yoneshige, A., Hagiyama, M., Inoue, T., Tanaka, T., Ri, A., Ito, A.
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Journal Title
Mol. Neurol.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Heart-bound adiponectin, not serum adiponectin, correlates with cardiac hypertrophy in stroke-prone spontaneously hypertensive rats.2016
Author(s)
Inoue, T., Takemori, K., Mizuguchi, N., Kimura, M., Chikugo, T., Hagiyama, M., Yoneshige, A. Mori, T., Kometani, T., Itoh, T., Satou, T., and Ito, A.
Organizer
The 26th Scientific Meeting of the International Society of Hypertension.
Place of Presentation
Seoul, Korea
Year and Date
2016-09-24 – 2016-09-29
Int'l Joint Research
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