2015 Fiscal Year Research-status Report
運動パターンの異常に着目した変形性膝関節症発症予備群のスクリーニングテストの開発
Project/Area Number |
15K01739
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
木藤 伸宏 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (40435061)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 単脚起立動作 / 体幹 / 骨盤 / 股関節筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,膝OAを発症する可能性のある者をスクリーニングする信頼性と妥当性のある動作テストを開発することであった。その中で本研究の今年度の目的は,3次元動作解析機器を用いて,単脚起立,quarter squat,降段動作時の標準的な運動パターンを明らかにすることであった。被験者は骨盤及び下肢に既往のない学生30名(年齢20~21 歳,20.73 ± 0.46 歳)とした。被験者の身体特性は,身長1.57 ± 0.05 m,体重57.13 ± 9.76 ㎏,BMI 23.12 ± 3.45であった。単脚起立動作時の上部体幹角度は前傾22.28 ± 12.27 °,支持側への側屈1.74 ± 2.97 °,非支持側への回旋1.72 ± 3.23 °であった。骨盤角度は前傾2.05 ± 6.72 °,支持側へ傾斜10.95 ± 3.42 °,非支持側への回旋3.56 ± 4.10 °であった。股関節角度は屈曲2.44 ± 7.51 °,外転1.32 ± 3.79 °であった。また,handheldmeterにて股関節筋力の計測方法を考案し,体幹と骨盤の空間位置との関係を検討した。まず,股関節筋力の計測方法の級内相関係数は,すべてにおいて0.9以上が得られた。さらに股関節筋力と体幹と骨盤の空間位置に関しては相関関係は認められなかった。 以上のことより,1)健常者では体幹と骨盤の空間位置に関して,矢状面,前額面,水平面の角度はニュートラル肢位で制御されていることが明らかとなった。2)健常者における体幹と骨盤の空間位置制御に関しては従来報告されている股関節筋力との関係はなく,単なる股関節周囲筋筋力増強によって前額面の姿勢は変化しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
男女50名ずつの被験者を計測する予定であったが,現時点で30名の計測しか行えていない。また,quarter squat,降段動作時の計測の解析は現在行っている現状であり,計画はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は27年度の行う予定の計測と解析を平行して行う。27年度に方法と手法は確立できたので遅れは取り戻せると判断している。28年度は新たな実験を行う。将来的に膝OAに罹患しやすい事が報告されている前十字靱帯再建術,膝関節半月板切除の既往のある膝OA予備群(n=50),x線では膝関節構成体の明らかな変化はないが膝関節内側に疼痛を有する初期膝OA群(n=50)を被験者とする。膝OA予備群と初期膝OA群は,基本情報として膝関節に関する外傷と手術歴を聴取する。そして,主観的な膝関節の疼痛状態と活動状態については膝外傷と変形性関節症帰結スコア(Injury and Osteoarthritis Outcome Score:KOOS)を用いて得点化する。課題動作の計測条件と方法は平成27年度と同様である。各パラメータについて平成27年度に行った大学生のデータと比較すると同時に,各パラメータについてコントロール群と膝OA予備群,コントロール群と初期膝OA群を判別可能なcut off値を,ROC曲線を用いて算出する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に購入予定であった解析ソフトは,計測がやや遅れたたため27年度の購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に購入予定であった解析ソフトを今年度に購入する。
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