2016 Fiscal Year Research-status Report
デジタルネイティブのネット上の対人関係スキルを育成するための基礎的研究
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15K01751
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
石川 真 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60318813)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 社会的スキル / 基本スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,デジタルネイティブと呼ばれる現代の子どもや青年が,より円滑にネット上の対人関係を構築するために,ネットワーク上の他者との相互作用過程におけるより良い関係,望ましい関係を築くためのスキル(対人関係スキル)を育成する学習プログラム開発に向けた基礎的研究を行うことを目的としている。当該年度においては,対人関係スキルの最重要と考えられるオンライン上のコミュニケーションスキル尺度の作成を試み,その信頼性及び妥当性について検討した。さらに,前年度の成果を踏まえ,ネット上の規範意識と行動の関連性について探った。 オンライン上のコミュニケーションスキル尺度は18項目で構成され,信頼性係数はα=.83であった。また,因子分析により5因子が抽出された。この尺度を用いて,デジタルネイティブ世代である大学生のオンライン上のコミュニケーションスキルの傾向を探った。対人コミュニケーション全般に関わる基本スキル尺度と当該尺度,社会的スキル尺度と当該尺度の関連性について分析したところ,いずれもオンライン上のコミュニケーションスキルと正の関連性が高い傾向を示した。とりわけ,社会的スキル尺度においては,問題解決力やトラブル対処力において複数のオンライン上のコミュニケーションスキルの下位概念と関連が高い傾向を示した。 ネット上の規範意識と行動の関連性については,SNSをはじめとする他者との相互関係,対人関係の重要性を強く意識するケースにおいては,規範意識の高い者の方が低い者よりも友達の逸脱行動の否認度および他人の逸脱行動に対して許さない傾向を示した。その一方で,対人関係に直接的関わりがないケースでは逸脱行動に対して比較的寛容な傾向が示された。したがって,オンライン上の良好な対人関係を築くためには,このような規範意識や行動傾向についても検討することが重要である点が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙調査により,デジタルネイティブ世代の大学生のオンライン上のコミュニケーションスキルの実態や傾向を対人コミュニケーション全般に関わる基本スキルや社会的スキルと比較検討することで探ることができた。また,規範意識とオンライン上の行動との関連性についてもその傾向を明らかとすることができ,他者との良好な対人関係を築くためのスキルの要素を検討する上で有用な知見が得られた。 さらに,次年度において検討するネット上の対人関係スキル育成のためのルーブリックの検討の糸口として,実験的な授業を行い,対人関係スキルを含むネット上の振る舞いに関わる変容についての検討を試みた。これらのデータを分析検証することにより,より具体的なルーブリックの枠組みの検討が可能となると考えられる。さらに,新たな質問紙調査や実験的授業を実践の取り組みを遂行していくことで,今後の研究計画は大幅な変更をすることなく遂行することが可能であり,当該年度の研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って進めるが,本年度も昨年度に引き続き当初予定していた実験を授業実践の形(実験的授業)でデジタルネイティブ世代の大学生を対象として取り組んでいく。これまでの研究成果で得られたオンライン上におけるさまざまな対人関係場面を複数のタイプに分類し,対人関係スキル育成のための授業プログラムを検討する。この実験的な授業実践は,情報教育を専門とする大学院生に協力を得ながら,学部生を対象とした授業内で実施する。また,この授業を実施する際に,試行的にルーブリックの検討を併せて行う。特に,コミュニケーションスキルにおいては,前年度に作成した尺度で抽出した因子を参考とする。 質問紙調査では,デジタルネイティブ世代である大学生を対象とし,200名程度のデータを収集する。前年度までの分析結果を踏まえ,ネット上の対人関係の実態のうち,これまでに対象としていないトラブルに関わるデータの収集を行う。さらに,前年度に作成したオンライン上のコミュニケーションスキル尺度についても信頼性・妥当性について再検証する。 年度末においては,次年度(最終年度)に向けた研究計画を再検討する。また,これらの調査で得られた結果を取りまとめ,成果の発表(研究紀要等への投稿,諸学会の大会での発表)を行う。なお,社団法人日本心理学会の倫理規程(2009)の指針に従い,質問紙調査,授業実践における協力者の人権の尊重と福祉に対する十分な配慮を自覚した上で取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
当該年度の申請額とほぼ同額の支出であり,前年度の繰越額がそのまま次年度使用額にスライドしている状態である。研究そのものは,当初通りに進められている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画と大幅な変更はなく,計画的に研究を進め,適正な支出に努める。必要に応じて,連携研究者の出張旅費の支出も検討する。そうした点も踏まえつつ,計画的に使用していく。
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Research Products
(3 results)