2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K01765
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三宅 孝昭 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80244672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 義昌 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (60173796)
坪内 伸司 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10188617)
田中 良晴 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (60236651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体活動量 / 免疫 / 幼児 / 保育内容 / 睡眠覚醒リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
協力園の園児52名に対する質問紙生活調査の結果、平均起床時刻6時44分、平均就寝時刻21時23分、平均睡眠時間9時間21分であった。就寝時刻が21時前の幼児が9.6%みられるが、22時以降も26.9%みられ、他の保育園同様の傾向であった。起床方法では、自然覚醒が多い幼児は48.0%であった。 その中で、保護者の承諾が得られた5歳児16名を対象に、各3日間の基礎測定(介入前)及び活動量増加測定(介入後)の結果について分析した。介入前の主な保育内容は、体操教室、プール、園庭での自由保育、室内保育などで、介入後の主な保育内容は、1日目約6㎞の散歩、体操教室、2日目プール、室内保育、3日目近隣空き地への散歩と園庭遊び、柔道であった。3日間の平均身体活動量は、介入前10,201歩±1,554歩、介入後16,822歩±938歩で、約1.5倍の増加であった。保育中の活動強度の指標としての平均心拍数は、1日目に有意な差がみられたが、その他の日では有意差はなく、3日間の平均においても介入前113拍±17拍、介入後115拍±19拍で有意な差はみられなかった。なお、性差はなかった。 睡眠覚醒リズムについて、平均就寝時刻は介入前21時31分±13分、介入後21時26分±12分、平均起床時刻は介入前6時55分±8分、介入後6時47分±14分、平均睡眠時間は介入前9時間22分±14分、介入後9時間21分±19分であり、就寝・起床時刻は約5分早くなっていたが顕著な差はなかった。 免疫指標のs-IgA/prot.では、介入前平均が就寝時4.6%、起床時15.2%、登園時8.2%、昼食前9.1%、降園時6.2%、平均8.7%で、介入後平均が就寝時6.8%、起床時18.8%、登園時11.2%、昼食前11.1%、降園時8.9%、平均11.4%であり、介入後のほうが高い傾向がみられたが、有意な差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、協力が得られた保育施設においては、保育園の事情により、当初の予定通りには進まなかったが、他の保育施設において、身体活動量増加介入前後の測定を実施し、分析した。 研究実績概要にも記載しているが、歩数計を指標とした身体活動量増加の保育内容を設定したため、身体活動量は有意に増加しているが、睡眠覚醒リズムや免疫機能に、顕著な影響を及ぼすような結果を得ることはできなかった。 保育内容への介入時の3日間の身体活動量は、1日目が約6㎞の散歩で、身体活動量は日常よりもかなり多かったが、2日目はカリキュラムの関係であまり変わらず、3日目は少し多い程度であった。運動強度の指標として測定した心拍数では、介入前と後で差はなかった。身体活動量の増加により疲労し、就寝時刻が早まり、睡眠覚醒リズムが良好になることが推察されたが、今回の結果では平均5分程度早くなっただけで、有意な差が認められるほどの改善はみられず、s-IgA/prot.も介入後は少し高くなる傾向はみられたが有意な差は認められず、大きな変化がみられなかった。このことから、今回、介入した保育内容では、睡眠覚醒リズムや免疫に明らかな差がみられず、介入時の保育内容に検討の余地があると考えられる。また、保育内容における身体活動量増加の期間、測定の時期についても、検討する必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究協力園と相談した上で、再度、保育内容及び介入期間を検討し、測定を実施する予定である。 前回の測定では、保育中の身体活動量は介入後に増加しているが、冬季の測定ということもあり、園庭での遊びではなく、園外への散歩が中心となった保育内容であった。歩数計による身体活動量は増加していたが、心拍数を指標とした活動(運動)の強度はいずれも中程度以下の活動が多く、有意な差がなかった。また、前回3日間の介入期間についても、短期間であった可能性が考えられる。研究協力園との協力体制、園の行事予定、カリキュラムにより検討することになるが、今回よりも長期の身体活動量増加の介入期間を設定する必要があると考えられる。測定時期についても、研究協力園の行事予定やカリキュラムとのとの兼ね合いになるが、秋季までに実施を考えている。 また、測定内容についても、これまでの経験から保護者、保育士の負担への配慮し、分析にも時間を要することから、唾液採取回数の軽減を考えている。具体的には、1日5回の採取から、就寝時、起床時、昼食前の3回にする予定である。 なお、測定協力園との関係は良好であり、今後の研究協力の承諾は得られているため、保育内容、測定時期、測定期間について、研究協力園と検討を重ねて、進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、保育施設の幼児を対象としており、保育施設の事情や対象幼児の事情により、当初の予定通り進まない可能性も考慮して、研究を進めてきた。また、前回の測定結果から、保育内容や測定期間、測定時期の設定を変えて、測定を実施する必要性があり、そのことを予定して、経費の執行を行ってきた。そのため、次年度使用額が生じた。 今後は、前回測定を実施した研究協力園において、既に研究協力の承諾も得られており、保育内容、測定期間、測定時期の設定を変えて、測定を実施する予定である。その測定に伴う旅費、消耗品及び試薬の購入、データ分析、その人件費などで使用する予定である。
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Research Products
(5 results)