2017 Fiscal Year Research-status Report
認定こども園における遊びの質を保障する園庭環境評価規準(幼児版)の試案作成
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15K01778
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
石倉 卓子 富山国際大学, 子ども育成学部, 准教授(移行) (90461855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 好美 富山国際大学, 子ども育成学部, 講師(移行) (20469472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 場の特性を生かした遊び / 環境と経験の関係性 / 豊かな遊びについての意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
富山県の協力認定こども園でビデオ記録した園庭での遊びのうち、春夏(Ⅰ・Ⅱ期)について分析した。Ⅰ期の泥遊びについては、全身で関われる場、試すことができる道具や場、探したり観察したりできる道具や場、友達の遊びの様子をゆっくり眺められる場などがあり、これらの環境が、幼児期にふさわしい経験を保障する要因の一つになっていると推察された。Ⅱ期の水遊びについては、道具によって形や重さや圧が変化する水、気温に対して心地よい温度の水、集団でも水を汲みやすい場の設定、継続して遊べる場や時間の設定、友達と目的をもって遊べる場の設定、試行錯誤できる道具の準備などが経験を保障する環境として推察された。これらの分析により、目的や道具があることで経験の幅が広がったり、素材や広さが十分あることで子ども同士の関わりが生まれたりする様子も感じられ、同じ遊び場でも思いや使用する物によって経験する内容が変化したり、物や空間特性そのものが内面の変化を促したりするなど、環境と経験の関係性がみえてきた。 また、全国へのアンケート調査「園庭での遊びと保育者の援助について」を実施した(調査期間:平成30年1月23日~3月5日、調査対象:全国の認定こども園400[都道府県各名簿順及び4種の型の比率から数を算定]、回収数115、回収率28.7%)。単純集計による分析結果では、園庭の遊びの中で幼児が豊かな経験をしていると保育者が感じる遊びについては砂・水・泥を使った遊びが多く、作る・創作する・工夫がみられる、異年齢で一緒に遊ぶ、遊びの中で発展がみられる、子どもが楽しんでいる様子がみえること等が理由として挙げられた。遊びからみえる経験については、友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見出し工夫したり協力したりなどする(領域「人間関係」)、自然などの身近な事象に関心をもち、取り入れて遊ぶ(領域「環境」)の2項目の意識が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
業務過多により、前年度に完了予定であった協力園のビデオ分析が今年度にずれ込んだ。また、申請時において認定こども園へのアンケート送付数を全国150園程度(全園の約 1割)としていたが、平成28年度4月1日現在で認定こども園数が4,001に増加したため、その1割程度として400園への送付に変更した。さらに、平成30年度施行の教育・保育要領との照らし合わせ等が必要になったため、1年延期して整理することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
協力こども園の秋冬(Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ期)分のビデオ分析を計画的に行う。また、アンケートについては、6月に連携研究者及び保育教諭養成課程研究会の研究支援者より助言をいただきながら分析を行う。遊びの質については文献研究を経て本研究としての定義を明確にしながら、研究者のビデオ分析と保育教諭のとらえ、全国のアンケート分析から得られた知見を基に評価規準の試案を作成し、アンケート協力園等に送付する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた連携研究者4名との研究打ち合わせが行えなかったため、6月、9月等の学会を利用して計画的に進めていきたい。また、全国へのアンケート調査を実施したが、研究報告書が年度をまたいで納品されたため平成30年度の支出となる。製本についても検討中である。なお、データ分析及び論文作成のための園庭全図コピー用造園設計シュミレーションソフトは、ビデオ分析後に使用することととした。今後、研究成果資料の増加に伴う整理のための物品も必要であり、研究成果の公開やアンケート協力園等への成果資料送付についてはデータ資料も追加予定であり、そのための関連経費も見込んでいる。
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Research Products
(1 results)