2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on manipulative play associated with prefrontal cortex activation
Project/Area Number |
15K01780
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
橘 廣 愛知東邦大学, 人間健康学部, 教授 (30440811)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 手指操作 / 機能的左右非対称性 / 遊び / 前頭前野 / 教育心理学 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年子どもたちの前頭前野の機能低下が報告されている中で、手指を使った遊びを通じて、前頭前野を活性化させる効果的な方法を検討することを目的とした。これまでの左右の手の機能的非対称性の発達に関する研究からは、その発達過程や一側化の程度が、操作性の高さにより異なることが示された。このことから操作性の高さに注目しながら、手指の操作活動と前頭前野の機能との関係性を近赤外線分光法(NIRS)を用いて検討した。 手指操作課題として、道具を用いた操作性の高い条件と、指で直接対象物に触れ操作する操作性の低い条件を設定した。まず細かな条件設定が可能で詳細な分析が可能な大学生を対象とした。課題遂行時の前頭前野の脳活動をNIRSを用いて計測したところ、巧緻性の求められる操作性の高い手指活動では、前頭前野腹外側領域とその周辺領域に顕著な血液量増加がみられ、特に非利き手の操作では、前頭極を含む、より広範囲に血液量増加がみられ、脳賦活範囲に左右差がみられた。一方、操作性の低い手指活動では前頭前野の活性化が両半球ともにほとんどみられなかった。この結果からは、スマホの長時間使用が現代的な課題となっているが、前頭前野の賦活の少ない操作性の低い手指活動を長時間行うことの問題が考えられる。 最終年度は、生後5カ月及び8カ月の乳児を対象とし、操作性の高さにより前頭前野の活動は異なるのかNIRSを用いて検討した。乳児においても大学生と同様の結果が得られ、指で触れる操作性の低い活動より、操作性の高い道具使用課題で顕著な血液量増加がみられた。また継時的課題と空間的課題の前頭前野の活動から、半球機能の分化が示唆された。一人ひとりの発達に合わせて、複数の物を組み合わせたり、物を調整しながら扱う操作性の高い玩具や道具を考えながら使用することが、前頭前野の活性化に効果的であることが示唆された点は重要であると思われる。
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Research Products
(4 results)