2019 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental Psychological Study on Sand Pit as a Playground Equipment "Sanba"
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15K01781
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
笠間 浩幸 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (10194713)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 砂場 / 砂 / 粒度 / 子ども / 砂遊び / 保育 / 砂場環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は大きく3つの観点から研究を行った。まず第1は、これまで取り組んできた砂場における砂の「適切性」について、よりその精度を高める研究に取り組んだ。砂はJIS規格が示す0.075mm~2.0mmの粒度範囲にある「土」である。だが、これはさらに細砂・中砂・粗砂に分類できることから、これまで調査してきた砂場の砂の分析データをこの基準によって見直しを行なった。これまでは単純に「砂分」95%以上を砂場に「適切」としてきたが、「細砂・中砂・粗砂」の比率が、おおよそ1:8:1前後となるものが保育・教育環境に適切なものと仮説的にとらえ、次の第2の研究に取り組んだ。 第2は、砂場に「適切」と考えられる上記砂を用いた砂場の環境整備を、福島県内における複数の保育施設・小学校において行い、そのことによる子どもの遊びの様子を観察及び聞き取り調査を行なった。その結果、砂の感触の良さが子どもたちに好評であり、思わず裸足でも遊ぶ子どもが出現したこと、砂場の砂の硬度が幼い子どもたちの手指の力でも問題なく操作が可能であること、水分を含ませることを通して様々な砂による造形遊びが展開できること、乾燥しても埃が舞いにくく、また皮膚への汚れが少なかったことなどの結果を見ることができた。第1の研究仮説はほぼ検証できたものと考える。 第3には、この適切な砂を用いた砂場に対する保育者の砂場評価について調査を行なった。その結果、子どもの砂場遊びへの意欲が大いに高まったこと、保育者自身の砂場遊びに対する認識が変わったことが挙げられた。また、この結果から、「適切な砂」を指定して新規に砂場を設置する施設が現れるなど、具体的な砂場の環境改善の動きにもつながった。 以上の結果から、本研究における砂場に「適切な砂」の基準がより明確になってきたと考えるが、今後は本研究をより広範に展開することを通して、砂場の砂の標準化の提言を課題とする。
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