2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K01784
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
久津木 文 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (90581231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイリンガル / 認知 / 幼児 / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度に修正した刺激を用いてバイリンガル及びモノリンガルのデータ収集を継続した。各20~30名分収集した。前年度に収集したもの及び本年度収集したデータの一部の分析を行った。2015年に収集したモノリンガルを対象にした予備データから特に、語彙切り替え課題について詳細に分析を行い以下のような結果を得た。 語彙切り替え課題において、正答の反応時間と正答数は心の理論課題のスコアと関連があることが明らかになり、素早く正確に言語音を切り替える能力は心の理論課題の通過に必要な表象の切り替えや抑制と関連することが示唆された。 さらに、年齢別(5歳以下vs5歳以上)で分析を行った結果、年齢によって課題間の関連性が異なることが示された。5歳以下では、抑制能力(質問紙)と語彙課題の正答数及び反応時間、そして、注意の切り替え(質問紙)と語彙切り替えの反応時間とが負の相関を示した。 このことから、5歳以下の幼児では、日常的な行動のなかで衝動性の制御や他の行動に気持ちや注意を切り替えるといった能力が、言語音を正確に速く切り替える能力と関連していることが明らかとなった。5歳以上では、切り替え課題が気質指標との間で関連がみられなかった。しかし、左前頭全皮質の活動と負の相関が認められた。このことから、年長の幼児において言語音的な抑制には特定の部位が関連しており、このような抑制において個人差がみられ、得意であるほど活動が低いことが示唆された。なぜ、年齢によって結果が異なるのかについて具体的な答えはまだないが、5歳以上の幼児のほうが前頭葉が飛躍的に発達する時期と重なっており、発達の個人差がみられやすかったという可能性が考えられる。 同様の内容を国際学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は問題なく進み、データ分析についても計画通り遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ある程度のデータが収集できたため、分析作業に注力したいと考える。その過程で、収集したものの分析対象として含められないものが出てくる可能性があるため、分析を進めながら最終年度に追加データを収集する可能性がある。 分析結果を学会発表及び論文として報告する予定である。
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Causes of Carryover |
予定通りデータの収集はできたが、データ分析を年度内に終えることができなかったため、その分未使用金が生じている。30年度に分析をする際に使用する。
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Research Products
(8 results)