2016 Fiscal Year Research-status Report
家族アウトカム指標を用いた療育の質の向上のための前向きコホート研究
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15K01792
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
植田 紀美子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, 臨床研究支援室長 (60538081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米本 直裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (90435727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害児 / 家族支援 / 発達支援 / 療育 / 評価指標 / アウトカム指標 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害児及びその家族にとって、居住する場所や利用する療育施設に関わらず、どこでも適切な療育を受けられることが望まれている。本研究では、我々が開発した療育評価指標“日本版家族アウトカム質問票(Family Outcome Survey Japan version: FOS-J))”を用いて、前向きコホート研究により家族アウトカムに好影響を及ぼす療育内容を明らかにし、療育の質の向上にむけた基礎資料を提供することを目的としている。具体的には、全国調査により障害別・疾病別・年齢別に療育内容の実態を明らかにすること、全国複数個所の児童発達支援センターで、子どもとその家族を約1年間追跡する前向きコホート研究により、家族アウトカムに好影響を及ぼす療育内容を明らかにすること、家族アウトカムに好影響を及ぼす療育内容の普及のため、これまでの研究成果をまとめることである。 平成27年度に、療育内容に関する全国調査のための調査票を作成し予備調査を行った。平成28年度は、まず、調査票を確定した。調査票は、療育提供体制と療育内容についてである。療育内容は、発達支援の指針、幼稚園教育要領、保育指針などを参考に、発達支援のために障害児にとって重要であると考えられる項目に関しての実施状況を尋ねた。障害児の療育で特に配慮していることも尋ねた。 調査対象は、当初予定していた児童発達支援センターだけでなく、児童発達支援事業を実施している施設に拡大した。児童福祉法改正後、急速なスピードで児童発達支援事業が拡大していることから、現状を把握すべきであると判断したためである。厚生労働省、全国児童発達支援協議会の協力を得て、全国の児童発達支援及び医療型児童発達支援を行う施設3854箇所を対象に記名式自記式質問票による「発達支援(療育)に関する全国調査」を実施した。977施設より回答を得て分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の療育施設に対する療育内容に関する調査を実施するためには、調査結果の普及を考慮に入れると、全国児童発達支援協議会や厚生労働省と調整を行うことが重要と考えていた。計画通り、療育内容調査の調査票を事前に調整し、調査回答の容易さ、調査内容の適切性・正確性などの入念な検証ができ、全国調査を実施できた。現在、最終的な分析をおこなっている。並行して、各施設の回答内容等を参考にしつつ、次の前向きコホート研究の実施施設を選定している。前向きコホート研究をスムーズに実施するためには、研究実施施設職員(協力研究者)との信頼関係を前提とした、研究内容の相互理解が必要である。引き続き、前向きコホート研究実施に向けた調整を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、研究を順次進める。児童発達支援事業を実施する施設に対する全国調査の結果を早急にまとめ、論文発表するとともに、全国児童発達支援協議会の研修会等での発表を行うなど、関係者等への発信を行う。今年度中心に行う前向きコホート研究は、子どもとその家族を約1年間追跡し、家族アウトカムに影響する療育内容を明らかにする研究である。研究参加予定の児童発達支援センターと調整する。具体的には、研究内容説明、家族へのインフォームドコンセントの方法、追跡方法、アウトカム質問票の実施方法などの調整である。研究参加協力センター職員の理解を要するため、本申請者や分担・協力研究者による療育評価法やアウトカム指標などの講義をあわせて行い、研究者間との信頼関係を築く。また、前向きコホート研究では、家族アウトカムはFOS-Jを使用し、子どものアウトカムは、子どもの発達や行動を評価する質問票、KIDS(Kinder Infant Development Scale)やSDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)を使用する。これらのアウトカムと療育内容に影響を及ぼすと考えられる背景因子(子どもや家族の背景因子や療育体制など)の調査も行う。前向きコホート研究により、家族アウトカムや子どものアウトカムの変化がどのような療育内容によるものかを分析する。
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Causes of Carryover |
全国調査の実施が平成28年度になったことにより、平成27年度からの繰り越し金が生じた。それにより平成28年度の所要額が当初より多く配分された。計画通り使用できた。そのため、翌年度分として繰り越す金額は少額であると考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分としての繰越金額は少額であり、次年度は計画通りに研究を実施することで繰越金額を使用できると考えている。
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Research Products
(4 results)