2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic study of polycyclic natural products with multi-quaternary asymmetric carbon atoms: development of synthetic strategies and elucidation of biological effects
Project/Area Number |
15K01795
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉村 文彦 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (70374189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 四級不斉炭素 / 天然物 / 全合成 / N-シリルケテンイミン / 塩素化反応 / スルフェニル化反応 / ニトリル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、標準的な合成方法論が欠如しているため化学合成が立ち後れている炭素環上に四級不斉炭素が密集した生物活性天然物の効率的合成法の開発、および合成化学的アプローチによる活性発現重要部位の特定に取り組んでいる。本年度得られた研究成果を以下に示す。 1.ブラシリカルジン類の全合成研究:ブラシリカルジンAの全合成において収率、選択性に問題のあった反応を改良、最適化した。 2.アンドラスチン類の全合成研究:まず、ポリエンの連続ラジカル環化反応を用いるAB環部の一挙合成を検討した。オレフィンの位置異性体を含む多数の異性体混合物を与えたので、このアプローチを断念した。検討の結果、側鎖に求核部位としてアルカンニトリルを備えた不飽和エステルの分子内共役反応を2度行うことで、A環およびB環を形成しつつ環上四級不斉炭素を構築することができた。次に、昨年度開発した分子内シアノエン反応を利用するC環構築を試みたが、環化前駆体への変換に多工程数を要するなどの課題が明らかとなった。そこで、合成経路を見直し、C環構築に分子内アルドール反応を用ることで効率的に環形成できた。 3.温和なシリル化条件下のアルカンニトリルのヘテロ官能基化反応の開発:シリルトリフラートとアルキルアミンを用いるN-シリルケテンイミン発生法を用いて、強塩基を必要としない温和な条件での、アルカンニトリルのアルファ位ヘテロ官能基化を実現することができた。すなわち、N-シリルケテンイミン発生条件下、スルホン酸塩化物と処理するとニトリルの塩素化が進行した。一方、同発生条件下、チオスルホナートと処理するとニトリルのスルフェニル化が進行した。これらの反応は、強塩基を用いる従来法と比較して官能基許容性が高い利点を有していた。
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